日本国内では、長崎大学が2020年から大学全体で「プラネタリーヘルスへの貢献」を掲げ、この分野の教育や研究にいち早く取り組んでいます。長崎大学では、プラネタリーヘルスを「地球の健康を支え続けるために有効な『答え(解決策)』を探し、私たち自身の意識や行動を変える取り組み」と定義しています。地球の健康には、地球温暖化だけでなく、政治や経済、社会の仕組み、多様性など、さまざまな問題が含まれます。そこで、長崎大学では複数の学部が協力し、多様な視点から解決策を探しています。
プラネタリーヘルスとよく似た取り組みに「SDGs(持続可能な開発目標)」があります。SDGsは、持続可能な社会を作るために、地球環境や社会、経済、人権などに関わる17の目標を掲げ、2030年までに達成することを目指しています。それぞれの目標には具体的な達成基準も示されており、これらが問題意識を共有し、一人ひとりの行動の指針となっています。
SDGsが2030年までの目標達成を「終着点」とするのに対し、プラネタリーヘルスは、その良い状態を将来にわたって長く維持していくことを重視しています。時には互いにぶつかり合うこともある各目標の関係性を明らかにした上で、長く持続していくための仕組みづくりを目指しています。科学的な根拠や知識はもちろん大切ですが、プラネタリーヘルスは、その実現に向けた具体的な方法を見つけることを目指しているのです。