マイクロスリープや日中の眠気を防ぐためには、まずは睡眠不足を解消することがとても重要です。睡眠時間の必要量は人によって異なりますが、全米睡眠財団では、働き盛りの方には7~9時間の睡眠が推奨されています※1。一方、子供や若者はもっと長く眠る必要があり、高齢者は少し短い睡眠でも問題ありません。
生活が忙しくて、しっかりと睡眠時間を確保するのが難しいと感じる方もいるかもしれませんが、たとえ10分でも15分でも、できる限り眠る時間を増やすことを心がけてください。少しでも睡眠時間を延ばすことで、マイクロスリープのリスクが低下する効果が期待できます。
平日の睡眠不足を解消するために、週末にまとめて寝る方もいるかもしれませんが、その方法は実は逆効果になることがあるのです。その理由は、生活リズムが乱れてしまい、「社会的時差ボケ」という状態に陥る可能性があるからです。週末だけ長時間寝てしまうと、普段の活動時間や就寝時間が遅れてしまい、睡眠サイクルが乱れたり、週明けに再び睡眠不足になるかもしれません。もし週末にたっぷり寝ることを希望するのであれば、土曜日だけにして、日曜日はなるべく普段通りの生活リズムを保つようにすると、社会的時差ボケを防ぐことができます。
昼間に眠たくなるのは、体内時計の影響を受けるためであり、睡眠不足の有無にかかわらず、午後1時から3時ごろは眠気を覚えやすいと考えられています。多くの人が「昼食後に眠くなるからではないか」と考えるかもしれませんが、実は、高カロリーな食事を摂取すると眠気が強まり、運転中に車線を逸れることが増えるという研究結果があります。しかし、昼食の影響を排除した実験でも、やはりこの時間帯に眠気を感じやすい結果が得られています。このような生体時計のリズムが形成されるメカニズムについては詳しく分かっていませんが、昼間は、夜中から明け方と同様に、居眠り運転事故の発生件数が多い時間帯であるため、眠気に注意が必要な時間であることを知っておくと良いでしょう。