どのくらいの水分を取ればいいか

【体内の水分量、摂取、排泄】

わたしたちの体の中には、水分が多く存在します。体重1㎏あたりに含まれる水分量は年齢によって違います。新生児で約80%、成人男性60%、成人女性55%、高齢者50%ほどと、年齢とともに減っていきます。

体内の水分量は、摂取と排泄により一定に調節されています。例えば平均的な穏やかな環境で生活している、体重70kgの成人男性のデータでは、1日のうちに2.5Lの水を摂取し、排泄するそうです。

体の調子は、出入りが一定に調整されているので、うまく整えられています。バランスが崩れると、体が不調になります。例えば、気温が高くなると汗をかくので、出る水分が多くなります。出る水分と同じだけの水分を補給できないと、脱水になってしまいます。

【水分が足りないと】

人は水があれば、食べ物が無い状態でも、しばらくは生きることができます。ですが、体内の水分量の5%がなくなると脱水症状や熱中症の症状が現れます。10%なくなると筋肉の痙攣や循環不全が起こります。20%なくなると人は死に至ります。

のどの渇きは、1%程度の水分が失われると感じるようになり、既に脱水と同じ状態になっているのです。脱水は、血液中の水分も減少させており、血液がドロドロ状態になっていきます。ドロドロの血液は血管内に血栓を作りやすくします。脳血管を詰まらせると起こるのが脳梗塞、冠状動脈を詰まらせると起こるのが心筋梗塞です。

こうした疾患は、冬に多く発生すると考えがちですが、暑い季節の脱水が要因となることも多いのです。特に夏は寝ている間にもたくさんの汗をかきますし、血栓ができやすいのです。

リンゴのすり下ろしに例えると、りんごをすり下ろしたとき、水分だけの部分と、すり下ろされた固形のリンゴの多い部分に分かれます。固形のリンゴの多い部分を、脱水により濃度が高くなった血液と仮定、ストローを血管に見立てます。固形のリンゴの多い部分は、ストローを太くしないと飲めません。これは、血液量を増やすことと同じです。また細いストローでは、吸引力を強くしても、ストローの中に固形のリンゴが残ります。これが血栓です。吸引力を強くすることは、血圧をあげることと同じです。

【どのくらいの水分を取ればいいか】

70㎏の成人男性は飲み水から1.2Lの水分が体に入ってきている計算になります。この数字を目安に、汗によって出た量の水分を摂取する必要があります。しかし、水分を摂取しても体に浸透するのに約20分かかります。また、一度にたくさんの水分を摂っても、体はうまく吸収できません。なので、水分はこまめに少しずつ、のどが渇いたと感じていなくても意識的に摂ることが大切なのです。

厚生労働省では、就寝中の水分不足に備え、夜寝る前と朝起きた後、それぞれコップ1杯ずつを飲むことを推進しています。そのほか特に水分補給が必要とされるのは、スポーツ中とその前後、入浴前後です。夏の日中など汗をたくさんかいた際には、水分補給はもちろんですが、塩分などの補充も忘れないようにしましょう。浴室に水を入れたコップを持ち込み、水分補給するのもおすすめです。

注意点は、アルコールや多量のカフェインを含む飲み物には利尿効果があることです。かえって脱水、血液ドロドロになる可能性があります。こうした飲み物では期待する水分補給はできないと考えた方がよいです。

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鍼灸マッサージ師をしています。
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