例えば前述の例なら、70㎏の成人男性は飲料として1.2Lの水分が体に入ってきている計算です。この数字を目安に、汗によって出てしまった量に見合った水分を摂取する必要があります。しかし、水分を摂取してもそれが体に浸透するのに20分ほどかかります。また、一度にたくさんの水分を摂っても、体はうまく吸収することができません。つまり、水分はこまめに少しずつ、のどが渇いたと感じていなくても意識的に摂ることが大切なのです。
厚生労働省では「健康のために水を飲もう」推進運動として、就寝中の水分不足に備えて、夜寝る前と朝起きた後、それぞれコップ1杯ずつを飲むことを推進しています。枕もとに水分を置いておくのも良いでしょう。
水分をしっかり補給することが必要な状況の一例として、スポーツをする前後や入浴前後があります。特に夏の暑い日中などでは、たくさん汗をかくことがあります。このようなときは、ただ水分を補給するだけでなく、塩分などの電解質も摂取することが重要です。しかし、アルコールやカフェインを多く含む飲み物は利尿作用があるため、逆に脱水症状や血液のドロドロ化を引き起こす可能性があります。そのため、こうした飲み物からは期待通りの水分補給が見込めないことを認識しておくことが大切です。