エネルギーで免疫システムが機能

ミトコンドリアは、私たちの体の中でエネルギーを作るだけでなく、免疫機能にも大きな役割を果たしています。

ウイルスや細菌のような異物が体に入ってくると、私たちの体は病原体を追い出そうとします。この体の仕組みを「免疫」と呼び、その働きを担うのが「免疫細胞」です。免疫細胞には、侵入してきた異物をすぐに攻撃する顆粒球やナチュラルキラー細胞、そして一度入ってきた異物を覚えておいて、次に侵入してきたときに効率よく攻撃するB細胞やT細胞などがあります。

これらの免疫細胞が活動するためにはエネルギーが必要です。他の細胞と同じように、免疫細胞もミトコンドリアが作り出すATPというエネルギーを使って働きます。ですから、ミトコンドリアがしっかり機能していれば、免疫細胞に十分なエネルギーが供給され、免疫力が維持されるのです。

ミトコンドリアはエネルギーを作る過程で、「活性酸素」という物質も一緒に作り出します。活性酸素は体を「サビつかせる」物質で、増えすぎると、がんや心臓病、脳卒中などの生活習慣病につながると考えられています。しかし、ミトコンドリアには、ビタミンEや還元型コエンザイムQ10(CoQ10)のような、活性酸素の害を和らげる「抗酸化物質」が備わっています。さらにミトコンドリアは、この活性酸素を、病原菌を退治する際にうまく利用する仕組みも持っており、ここでも免疫機能に貢献しているのです。

そして、ミトコンドリアは、免疫反応全体のバランスを調整する「司令塔」のような役割も担っています。ウイルスや細菌に感染して細胞が傷ついた場合、ミトコンドリアは、周りの細胞に悪影響が及ぶ前に、その細胞を自ら死なせて取り除く「アポトーシス」という働きを促します。また、免疫細胞が過剰に反応して暴走してしまう「サイトカインストーム」という状態を抑える働きも持っています。

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鍼灸マッサージ師をしています。
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