フィンランドという国では、サウナ浴という習慣が古くから根付いており、その特徴は日本のサウナ浴と比べて温度が低く湿度が高いことです。この国では、サウナ浴が様々な病気の予防や健康への効果について研究が進められており、興味深い報告がされています。
例えば、フィンランドで行われたKIHD研究では、高血圧のリスクが低下する可能性が示唆されています。この研究では、高血圧の既往がない42歳から60歳の男性1621人を対象に、約25年にわたって追跡調査が行われました。その結果、週に1回サウナに入る人たちと比べて、週2~3回サウナに入る人たちでは高血圧のリスクが17%低くなり、週4~7回サウナに入る人たちではなんと47%もリスクが低下したそうです。
さらに、同じくKIHD研究によると、サウナ浴の頻度が多いほど心血管疾患のリスクも低くなることが示されています。この研究では、42歳から60歳の男性2315人を21年間にわたって観察しました。すると、週に1回サウナに入る人たちと比べて、週2~3回サウナに入る人たちでは心血管疾患のリスクが27%低くなり、週4~7回サウナに入る人たちではなんと50%もリスクが低かったというのですから驚きです。
サウナ浴を繰り返す頻度が多い人は、認知症のリスクが低くなる可能性があるという研究結果が報告されています。この研究は、フィンランドで行われ、30歳から69歳までの13394人の男女を対象に、認知症と診断されていない人たちを39年間にわたって追跡しました。その結果、1805人が認知症と診断されましたが、そのうちサウナを1カ月に0~4回利用する群と比べて、9~12回の頻度でサウナを利用する群では、認知症の発症リスクが19%低くなることが示されたそうです。
ただし、研究では、軽度から中程度の熱ストレスが認知能力を向上させる可能性がある一方で、高度の熱ストレスが認知機能を損なう可能性があることも指摘されています。そのため、特に高齢者が高温のサウナ浴を行う際には、慎重に注意を払う必要があるとされています。