トコジラミを持ち帰らないように気をつけることは、どんな場合においても非常に重要です。特に宿泊施設などでの滞在後は、帰宅する際にはトコジラミの侵入を防ぐための対策を十分に取ることが必要です。ベッド付近には荷物や衣類を置かないよう心がけましょう。なぜなら、ベッド周辺に物を置いていると、吸血した後のトコジラミが紛れ込む可能性があるためです。バッグやスーツケースはしっかりと閉め、できれば大きなポリ袋に入れた上で、ベッドから離れた部屋の入口付近に収納することが望ましいでしょう。トコジラミは夜中に活発に活動するため、洗面所やバスルームに置き、照明を点けっぱなしにするのも有効な方法です。
また、トコジラミは吸血後、家具などの隙間に戻る前に、黒い液状の血糞を排泄します。柱や畳、寝具などに黒い点々としたシミがある場合は、その周辺にトコジラミが潜んでいる可能性が高いです。さらに、夜に寝具の上でうそ寝をしてから約30分後に明かりをつける「うそ寝作戦」を実施すると、隙間から出てくるトコジラミを見つけることができるかもしれません。
もし家の中にトコジラミがいる可能性があると感じたら、その駆除を行う必要があります。通常、トコジラミを駆除する方法として最も一般的なのは殺虫剤を用いることですが、最近では残念ながら、多くのトコジラミが、通常他の害虫に対して効果のある殺虫成分(ピレスロイド系)に対して抵抗性を持つことが確認されています。家庭用の殺虫剤でトコジラミに効果的な成分には、プロポクスル、メトキサジアゾン、ブロフラニリドの3種類があります。プロポクスルとメトキサジアゾンはスプレータイプの殺虫剤で、トコジラミが潜んでいる場所や寝具の周りに散布することで、約1カ月間効果が持続します。ブロフラニリドは「くん煙式」の殺虫剤で、室内に殺虫成分を拡散することができます。もし殺虫剤を使用してもトコジラミを駆除できない場合は、専門の業者に依頼する必要があります。このような駆除作業は手間と費用がかかるので、信頼できる業者を見つけるためには、日本ペストコントロール協会や地方自治体に問い合わせて紹介を受けることがおすすめです。