【池波正太郎生誕100周年記念映画】
2023年10月7日(土) 19:00~21:35にBSフジで放映されます。池波正太郎生誕100年を記念し『鬼平犯科帳』に並ぶ3大シリーズ『仕掛人・藤枝梅安』を映画化。江戸の町を舞台に、鍼医者という表の顔と冷酷な仕掛人という裏の顔を持つ男を描く、というお話。江戸時代は、鍼灸師ではなく、鍼医者だったんですね。もちろん、免許制度なんてものはないんですけど。
映画の中では鍼をする場面も、ちょくちょく出てきますが、その中でも、座った患者さんの肩に灸頭鍼をする場面が、印象的でした。灸頭鍼とは、鍼をしたあと、鍼の出ている部分に丸めたもぐさを乗せて火をつける灸のことです。通常は、写真のように、うつ伏せで背中にすることが多い灸ですが、座って肩にする、というのは、結構リスキーなんです。肺の先が、肩の近くまで来ているのですから。でも、梅安先生は名人ですから。
【長い鍼で首を後ろからブスっと】
仕掛(いわゆる、殺し)の場面、長~い鍼を逆手にもって、ブスリと刺す場面、スカッとしますね。水戸黄門さまが印籠を出す場面のような、時代劇の醍醐味を感じます。
【江戸時代へのあこがれ】
時代劇を見ていると、目で見ているものがすべて、という安心感があります。何かというと、電気もスマホもない時代、盗聴器を取り付けられることもないし、相手をさぐろうとすれば、天井や床下に張り付くしかない。目の前の人に、超小型イヤホンから連絡がくることもない。その反面、夜になれば灯りは暗く、目に見えない暗闇から何が出てくるかわからないけど。
現代に生きる私たちが、まわりに人がいっぱいいるのに、なぜか感じる孤独感や不安感の根源の解消には、少し前の不便だった時代にヒントが見つかるのかもしれません。