冬の寒さが厳しくなり、こたつやカイロといった暖房器具が手放せない時期ですが、そこで気をつけたいのが「低温やけど」です。これは40〜60℃という心地よいと感じる程度の熱に、長時間触れ続けることで起こる症状を指します。目安として50℃なら約3分、60℃ならわずか1分ほどで皮膚が損傷する恐れがあり、最初は少し赤くなるだけで痛みも少ないため、つい軽視してしまいがちです。しかし実際には、熱がじわじわと皮膚の深い組織や末梢神経まで達し、重症化しているケースも少なくありません。特に、すねやくるぶしなどの皮膚のすぐ下に骨がある部位は、圧迫によって血流が滞りやすく熱がこもりやすいため、細心の注意が必要です。
こうした被害を防ぐためには、とにかく同じ部位に熱を当て続けない工夫が欠かせません。例えば、こたつや電気カーペットをつけたまま眠りにつくのは避け、湯たんぽを使用する際は必ず厚手のタオルで包むようにしましょう。また、使い捨てカイロも発熱温度が意外に高くなるため、直接肌に触れないように装着することが大切です。特に、皮膚の感覚が繊細な乳幼児や反応が鈍くなりやすい高齢者、さらには深い眠りや泥酔状態にある時は、本人も気づかないうちに症状が進んでしまうため、周囲の配慮も求められます。もし赤みが引かなかったり、痛みや水ぶくれが現れたりした場合は、速やかに20〜30分ほど冷やした上で専門の病院を受診してください。冬のぬくもりを安全に楽しむために、暖房器具とは「つかず離れず」の適切な距離を保つよう心がけましょう。
