寒い季節がやってきますと、私たちの健康維持のためには十分な質の高い睡眠が必要です。冬になると体が冷えるために寝つきが悪くなることや、温かい布団の中にいては朝の起床がスムーズにできないことがあります。そこで、今回は快適な寝室環境の整え方や入浴のコツ、また簡単で効果的な起床方法についてです。
【寒くて眠れないとき】
体温や寝室の温度・湿度、そして寝床の中の環境を整えることによって、睡眠の質が向上します。
■入浴を通じて体温のリズムを整える
健康な人の体温は、一日の中で大体1度ほど変動します。体温が下がる時間帯にはすんなりと眠りにつくことができ、一方で体温が上がる時間帯にはなかなか寝付けません。そのため、寝る予定の1~2時間前に入浴することで、体温が下がるタイミングに合わせてスムーズに眠りに入ることができます。
入浴時には、お湯の温度にも気をつけましょう。熱すぎるお湯に入ると、交感神経が刺激されて目が覚めてしまうことがありますので、ぬるめの37~40度のお湯に入るようにしましょう。20~30分ほど浸かることが効果的です。半身浴でも同じような効果が得られますので、好みに合わせて選びましょう。もしも熱いお湯に入りたい場合には、入浴のタイミングを少し早めると良いでしょう。
■寝室のみならず、寝具の温度調節も重要
寝室の冬季の適切な温度は、16〜19度であり、この範囲で睡眠の質が最も向上します。具体的には、ナイトウェアの上に一枚羽織る程度が良い目安となります。寝室に入った時に寒さを感じてしまうと、交感神経が刺激され、眠気が覚めてしまいます。また、夜中にトイレに行く際にも、寒い部屋や廊下は脳卒中や心臓麻痺のリスクを引き起こす可能性があるため、注意が必要です。
ベッドや布団などの寝具は、体温に近い32〜34度が最適な温度となります。睡眠の1時間前から、電気毛布や湯たんぽを使用して温めておくことがおすすめです。電気毛布を一晩中使用し続けると、睡眠中に自然に下がる体温の低下を防ぐことになります。ですので、寝る前に電気毛布のスイッチを切り、目覚める予定の1時間前にスイッチが入るようにタイマーをセットすることが良いでしょう。
湯たんぽは時間とともに冷めてしまうため、自然な眠りに影響を与えません。湯たんぽを足元に置く代わりに、脚の付け根や脇、首、お腹などの太い血管を温めることで、手足全体が温かくなる効果があります。
■寝室だけでなく寝具の温度も大切です
寝室の温度だけでなく、寝具の温度も重要です。特に冬は寒さで体が冷えることがありますので、寝具を暖かくすることで体温を維持しやすくなります。毛布や電気毛布などを使って寝具を暖かくしましょう。
■乾燥しすぎは避け、適度な湿度を維持しましょう
冬は空気が乾燥しがちです。エアコンを使用するとさらに湿度が低下し、睡眠の質が悪くなる可能性があります。喉を傷めてしまったり、風邪を引いてしまうことを避けるためには、湿度を50%前後に保つようにしましょう。加湿器を使ったり、湿ったバスタオルを部屋に掛けたりするなどの工夫が必要です。
■アルコールは適量にとどめましょう
適量のアルコールは眠りにつくのを助けてくれます。しかし、眠りが浅くなりやすく、頻繁にトイレに起きることが多くなるため、全体的な睡眠の質が悪くなる可能性があります。また、睡眠薬の代わりとして飲んでいる場合は、量を増やしてしまい、アルコール依存症になりやすいので、自制心を持つことが大切です。
【冬にスッキリ起きるコツ】
冬は特に、朝起きることが苦手な人もいますし、布団から出るのが寒くて辛いという人も多いです。しかし、目覚めやすい環境を整えることで、布団からスッキリと出ることができます。
■光で体内時計をコントロール
まず、朝起きたらすぐに明るい光を浴びることが大切です。強い光は、目覚めを促してくれる最強の効果があります。できれば、太陽の光を直接浴びることがベストですが、日の出の時間が遅い時期や、外に出ることが難しい場合は、部屋の照明を全灯にすることでも効果があります。
また、夜に明るい光を浴びると、睡眠ホルモンであるメラトニンが減ってしまいます。そのため、夕食以降は少し暗めの白熱灯の下で過ごすようにしましょう。また、寝る1時間前にはテレビやインターネット、メールなどの刺激的な活動をやめることも大切です。寝るときは暗い方がよく眠れますが、暗闇が不安な人は、豆電球のフットライトを使っても良いでしょう。
■布団の中でエクササイズ
低血圧や低体温の方は、朝、布団から出るのが難しい場合があります。しかし、布団の中で寝転んだまま等尺性運動を試してみましょう。まず、6〜10秒間、全身を力で緊張させます。そして同じく6〜10秒間、完全に力を抜きます。この動作を3セット行うことで、血圧と体温が適度に上昇するでしょう。
■西郷式起床術
明治時代の英雄、西郷隆盛さんが行っていた起床法もご紹介しましょう。目覚まし時計が鳴ったら、掛け布団や毛布を足元まで蹴り飛ばします。これにより体が寒さを感じ、目を覚ますことができます。ただし、高血圧や心臓病の方は絶対に真似しないでください。
自分に合った起床方法を見つけて、気持ちの良い朝の時間を過ごしましょう。