人生100年時代と言われる現代では、病気をただ予防したり治療したりするだけでなく、心身ともに健やかで、社会とのつながりも良好な「ウェルビーイング」(より良い状態)を目指すことが、長く健康に暮らす上でとても大切です。
私たちの健康は、温暖化のような地球の環境と深くつながっています。これからの時代は、人間の健康だけでなく、「地球の健康」にも同時に目を向け、互いに影響し合っていることを理解し、意識や行動を変えていく必要があります。
こうした考え方から生まれたのが「プラネタリーヘルス」という取り組みです。
プラネタリーヘルスという考え方は、2015年にアメリカのロックフェラー財団と科学雑誌「ランセット」が共同で発表した報告書がきっかけで、世界中に広まりました。
2016年には、アメリカを中心に「プラネタリーヘルスアライアンス(PHA)」という組織が作られました。この組織には、世界中の400以上の大学、NPO、研究機関、政府機関などが参加しており、地球環境の変化が健康にどう影響するかを理解し、対策を講じるための活動を行っています。日本でも2023年に、学術関係者を中心とした国内の拠点組織が設立されています。