私たちが健康を維持するためには、たんぱく質、炭水化物、脂質、ビタミン、ミネラル、食物繊維といった基本的な栄養素をバランスよく摂取することが不可欠です。それに加えて、個々の状況に応じて必要な栄養素を補うことが大切です。
例えば、貧血対策には鉄分だけでなく、ビタミンB12や葉酸を食事から摂ることが重要です。特に葉酸は、赤血球の生成に不可欠な「造血ビタミン」とも呼ばれ、胎児の発育にも重要な役割を果たします。そのため、妊娠を計画している女性は、1日に400μgの葉酸を摂取することが推奨されています。
葉酸は海苔に非常に多く含まれているという話を聞くことがあるかもしれません。確かに、焼き海苔100gには1900μgもの葉酸が含まれており、ビタミンAやカリウムなどのミネラルも豊富です。しかし、この数値はあくまで100gあたりの量であることに注意が必要です。海苔1枚の重さは約3gなので、1枚に含まれる葉酸は約30μgにすぎません。推奨される400μgの葉酸を海苔だけで摂取しようとすると、1日に7枚前後も食べる計算になります。
他の海藻類と比較しても、乾燥わかめを戻したものは100gあたり46μgの葉酸を含んでおり、一度の食事で50g以上食べることも難しくありません。このように考えると、海苔が「桁違いに葉酸を多く含む」という表現は、少し誇張されているかもしれません。
もちろん、海苔が栄養価の高い食品であることに変わりはありません。葉酸を効率よく摂取できる食品であり、満腹感に影響しにくいため、普段の食事に加えるのに適しています。しかし、一度に食べられる量には限界があり、同じ食品ばかりだと飽きてしまいます。そのため、海苔だけにこだわるのではなく、他の海藻類や野菜などと組み合わせて摂取する方が、より効果的で継続しやすいでしょう。