水は些細なものだと考えられることもあるかもしれませんが、人間は水があれば、食べ物がなくても一定期間生き延びることができるのです。逆に言えば、体内の水分が5%減少すると、脱水症状や熱中症の症状が現れ、10%減少すると筋肉が痙攣し、循環が不全になり、20%減少すると命を落としてしまいます。のどの渇きは、わずか1%の水分が失われると感じられ、すでに「脱水」と同等の状態にあるとされています。
脱水は、血液中の水分も減少させるため、血液がドロドロの状態になります。このドロドロの血液は血管内で血栓を作りやすくし、結果的に脳梗塞や心筋梗塞を引き起こす可能性が高まります。
これらの疾患は冬によく起こると考えられがちですが、実際には暑い季節に脱水が原因となって発症することも少なくありません。特に夏は、寝ている間に大量の汗をかくこともあり、血栓ができやすい状態にあるのです。
例えば、リンゴをすりおろすときを考えてみましょう。リンゴをすりおろすと、水分だけの部分と、すりおろされた実の部分で構成されたペースト状のものができます。この場合、水分だけの部分を除いて、実の部分が多く残っている状態を考えると、これを血液になぞらえてみましょう。具体的には、すりおろされた実の多い部分を高濃度の血液とみなし、ストローを血管に例えることができます。すりおろされた実の多い部分(高濃度の血液)を取り込むためには、血管(ストロー)を太くする必要があります。血流を増やさない限り、血管(ストロー)が太ければ実の部分(高濃度の血液)を飲み込むことができません。逆に、ストローが細すぎると、吸引力を強化しても(血圧を上げても)、すりおろされた実が残ってしまいます。これが血栓の状態と言えるでしょう。