女性は年齢を重ねるにつれて、体にはさまざまな変化が起こります。その中でも、卵巣機能の低下や女性ホルモンである「エストロゲン」の分泌量の低下などが特に重要です。これらの要因が複雑に絡み合って、更年期症状が生じると考えられています。
まず、プレ更年期においては、卵巣機能の低下が最初に始まります。この段階では、エストロゲンの量はまだ大幅に減少していないことが多く、月経も比較的定期的に続いていることが一般的です。しかし、月経周期やその期間が以前よりも短くなる傾向が見られることもあります。また、卵巣は脳の「視床下部」という部位からの指令を受けて女性ホルモンを分泌していますが、卵巣機能が低下すると、適切な量の女性ホルモンを分泌できなくなります。そのため、指令に反応しない卵巣に対して、引き続き指令を送り続ける視床下部も混乱を来すことがあり、自律神経の乱れを引き起こす可能性があります。その結果、だるさ、肩こり、睡眠障害、動悸、めまい、ほてり、異常発汗など、さまざまな症状が現れることがあります。
自己神経系の乱れは、年齢に関係なく発生する可能性があります。特にプレ更年期では、多くの人が仕事や子育て、親の介護など様々な役割を抱えて忙しく、ストレスの影響で自己神経系が乱れやすい状況にあります。さらに、卵巣機能の低下が加わると、自己神経系の乱れがさらに進み、「疲れやすくなった」「いつも調子が悪い」といった症状が現れやすくなります。
エストロゲンの分泌量は、プレ更年期から段々と減少していきますが、本格的な減少は更年期に近づくにつれて起こります。エストロゲンが急激に減少すると、皮膚の乾燥や抜け毛、骨密度の低下、関節痛などの症状が現れやすくなります。