神奈川歯科大の斎藤滋教授は、「魏志倭人伝」の記述に基づき卑弥呼の食事を再現し、女子学生による試食実験を行いました。その結果、一食あたりの咀嚼回数は驚異の3990回に達した一方、現代の食事ではわずか620回と、6分の1にまで減少していることがわかりました。戦後、私たちの食生活は激変し、硬い食べ物が食卓から減り、柔らかいものが主流になったことが、咀嚼回数減少の大きな要因と考えられます。ある報告によると、過去50年で子どもたちの咀嚼回数は半減したとも言われています。
咀嚼回数を増やすためには、料理に硬い食材を取り入れるなどの工夫が有効です。一口30回を目安に、一食あたり1500回を目指しませんか。よく噛むことは、脳の活性化、歯並びの改善、消化吸収の促進、表情の豊かさなど、多くのメリットをもたらします。そして何より、食事をよりおいしく楽しむことができます。