毛細血管のゴースト化

私たちの体中に張り巡らされた毛細血管。その壁の細胞が減ったり、血管の内側の細胞同士の隙間が開いたりすると、血液が漏れやすくなってしまいます。さらに、ダメージが進むと、毛細血管はどんどん細くなり、ついには血液が流れなくなってしまう「ゴースト血管」と呼ばれる状態になるのです。

このゴースト血管、実は全身に様々な影響を与えることがわかっています。例えば、悩ましい肌のシミやシワもその一つ。血液成分が漏れ出すことで慢性的な炎症が起こり、シミの元となるメラニンが過剰に作られたり、肌のハリや弾力を保つコラーゲンの生成が弱まったりするのです。

また、足先などの血流が悪くなると、心臓は頑張って血液を送ろうとするため、血圧が上がりやすくなり、高血圧の原因になることもあります。

驚くことに、近年の研究では、アルツハイマー型認知症の原因の一つにゴースト血管が関わっている可能性も示唆されています。脳には、必要な物質を届け、有害なものが入り込むのを防ぐ「血液脳関門」という大切な仕組みがありますが、これは脳の毛細血管そのもの。

認知症の原因となるアミロイドβというタンパク質が脳に溜まる際、この脳の毛細血管がゴースト化していると、アミロイドβをうまく排出できなくなってしまうのです。そして、蓄積したアミロイドβが長い年月をかけて別のタンパク質に悪影響を与え、脳の神経細胞が傷つき、認知症へと進行していきます。

もし、アミロイドβが溜まり始めた初期の段階から、脳の毛細血管を元気に保つような対策を始めることができれば、認知症の予防や進行を遅らせることにつながるかもしれません。

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鍼灸マッサージ師をしています。
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