疲労回復物質と夏バテ

長い間、疲労の原因は乳酸だと考えられてきました。激しい運動によって乳酸が蓄積されることがその理由とされていましたが、この説は現在否定されています。それどころか、乳酸には疲労回復を促す働きがあることが分かっています。

では、一体何が疲労を引き起こすのでしょうか。それは、2008年に東京慈恵医科大学の近藤一博教授らの研究グループによって発見された、FF(Fatigue Factor=疲労因子)と呼ばれるタンパク質の一種です。運動などで体が疲れると、体内で大量の酸素が消費され、活性酸素も発生します。この活性酸素が細胞を酸化させ、その結果FFが発生します。脳はこのFFの発生を疲労として認識し、筋肉や細胞の活動も低下することで、疲労を感じる状態になるのです。

この疲労状態から回復するために、全身の細胞から分泌される物質がFR(Fatigue Recovery)です。これも2011年に近藤教授らの研究グループによって明らかにされたタンパク質の一種で、疲労回復物質とされています。このFRの働きは、生活習慣によって強くなったり弱くなったりすることがわかっています。そのため、FRの働きが弱い人は夏バテを起こしやすいと考えられています。

  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

鍼灸マッサージ師をしています。
当院へのご予約は、下記一番左のリンクボタン、又は右側の[ご予約]をクリックください。

目次