人間の体は約60%が水分でできています。例えば、体重60kgの成人男性の場合、36kgが水分に相当します。それだけ水分は体の機能を維持するために不可欠であり、不足すると命に関わることもあります。
体内の水分が5%失われると脱水症状や熱中症の症状が現れ、10%失われると筋肉のけいれんや循環不全が起こります。さらに、20%失われると死に至る可能性もあります。
私たちは普段の生活の中でも、尿、便、呼吸、汗によって1日に約2.5Lの水分を失っています。一方、食事から約1.0L、体内で約0.3Lの水分が作られますが、これだけでは失われた水分を補うには足りません。残りの約1.2Lは飲み水として補給する必要があります。これは一般的な生活における必要量であり、運動をしたり屋外で活動して汗をかいたりする場合は、さらに多くの水分補給が求められます。
夏場にビールで水分補給をしようと考えるのは適切ではありません。**アルコールには利尿作用があり、通常よりも尿の量を増やしてしまいます。**例えば、ビールを10本飲むと、11本分が尿として排出され、かえって脱水を促進してしまうことがあります。多量のカフェインも同様に利尿作用があるため、夏に好まれるアイスコーヒーなどカフェインを含む飲み物にも注意が必要です。
また、降圧剤、利尿薬、緩下剤、または便秘治療薬を服用している方は、脱水症になりやすい傾向があります。そのため、より一層の水分補給を心がけるようにしましょう。