食品の包装やパッケージなどに、食品表示として、栄養成分やアレルギー表示、また健康に役立つと考えられる成分などが表示されています。これは食品表示法により定められています。食品の購入時にこの部分を確認することによって、健康に役立つ情報が入手できます。また、栄養バランスのとれた食生活が実現できるようになります。食品表示の意味をよく理解して、ふだんの食品選びに役立てませんか。
【食品表示の概説】
スーパーや食料品店などで販売される食品の多くに食品表示がなされています。国際的な規格や、各国ごとに食品表示に関する規則・法規が存在します。
情報は食の安全を実現するための欠かせない要因ですが、消費者が食材を手にしつつ直接確認できる唯一の情報が食品表示なのです。そのためこの情報が正しく、正直に表示されることは大変重要なことであり、それが守られないと食の安全は根底から崩れてゆくことになります。
しかし、食品業者の中には、食品表示を偽るものがおり、事件・社会問題となることがあります(食品偽装問題)。偽装された表示は偽装表示と言います。なかでも産地を偽って販売することを産地偽装と言います。
【日本の食品表示】
日本では、食品表示法、景品表示法、計量法、健康増進法、医薬品医療機器等法(旧薬事法)により規定されています。また、表示は、必ず日本語で表記することが義務付けられています。以前は食品衛生法、JAS法にも規定がありましたが、食品表示法に移行されました。
表示対象は以下のとおりです。容器包装に入れ、店頭に陳列していき、販売されるものは食品衛生法とJAS法により表示が必要となっています。ハンバーガーショップでのサンドイッチ類の提供などのように、客の請求に応じて、その場で製造し販売されるものは、製造者側がその場で情報提供できる立場にあることにより、表示は必要とされないとなっています。
スーパーマーケットのバックヤードで製造される総菜や弁当が、JAS法でいうところの「その場での情報提供が可能」であるため表示義務を課していないのですが、食品衛生法では製造・管理した内容を明確にするため表示を義務付けているなど、各省庁の6種類の法律での合性が取れていない事例が多く存在します。表示する内容については、各省庁や地方自治体の担当者に相談を、となっている。省庁間の縦割り行政がネックになり、6種類の法律の解釈は担当者にとっても大変困難を伴う作業となっているのが現状です。
基本的表示を指導する厚生労働省、実施部局は保健所、及び農林水産省、実施部局は地方農政局等、農林水産消費安全技術センター、内においても、担当者ごとや企業からの質問の仕方により、法律の解釈に微妙な差異が出てくることが指摘されています。
2009年10月の消費者庁の発足により、食品表示についての運用所管は消費者庁に一元化されています。
【栄養成分表示の活用例】
栄養成分表示が義務づけられ、「熱量(エネルギー)」、「たんぱく質」、「脂質」、「炭水化物」、「食塩相当量」の5項目の栄養成分等を確認できるようになりました。食品を選ぶ際に大変参考になります。例えば、血圧が高めだから塩分を控えた方が良い場合は、「食塩相当量」の項目を確認してみて、1日当りの食塩摂取量が男性なら7.5g未満、女性なら6.5g未満になるよう注意することができます。肥満の解消や体重の維持などを目的とする場合は、「熱量(エネルギー)」の項目を確認してみましょう。例えば、18歳~74歳で身体活動レベルが、ふつう、つまり、座位中心の仕事をしているが、職場内では移動や立位での作業・接客等がある、通勤・買い物で歩行している、家事、軽いスポーツをしている、いずれかを含む場合の男性が1日に必要な推定エネルギー量は2,400~2,650kcal、女性は1,850~2,050kcalです。そこから換算し、1食当りどのくらいのエネルギー量に抑えるなど目標を決めて食品を選ぶことができます。生活習慣病予防の観点からも、たんぱく質、脂質、炭水化物の摂取量をバランスよくとることが大切。良質のたんぱく質をたくさん含む魚介類、肉類、大豆・大豆製品、卵類、乳類を組み合わせて選びましょう。種類によっては含まれるたんぱく質や脂質の量が異なるため、栄養成分表示を確認して、特定の食品が重ならないように選びましょう。
【間食の選択時にも】
1日の摂取エネルギーが消費エネルギーを超えないように、3度の食事だけではなく間食も含めて調節しましょう。食べ物だけでなく、甘い飲み物にも糖質が多く含まれている場合が意外とたくさんあります。これからの季節、脱水予防や熱中症予防のために、スポーツドリンクなどを何本も飲んでしまうと摂取エネルギーが大幅に増えてしまいます。何を選ぶかによって、摂取エネルギー量は変わります。間食の購入時にも栄養成分表示をチェックして、エネルギー量や脂質量の少ない物を選ぶようにしましょう。