1.最重視は体の下に敷くもの
できるだけ通気性を確保し、保温性を下げることがポイントです。肌に密着しない硬めの素材が涼しく感じます。逆に、寝たときに体が沈み込んでしまうような軟らかい素材や低反発素材は、体にまとわりついて暑く感じてしまうようです。
敷布団とマットレスを重ねての使用は、どちらかを外して厚みを減らすと、熱が逃げやすくなります。マットレスの上に硬めのパッドを敷くのも、涼しく感じやすくなります。
2.夏用のシーツは麻素材がお薦め
麻素材は、肌触りは硬めですが、保温性が低く、通気性と吸水性がよく、速乾性もあるため、汗をかいても肌にまとわりつかず、暑さを和らげてくれます。洗濯にも強く丈夫なので、長く衛生的に使えます。
3.冷感、涼感をうたった寝具の品質基準は定めなし
触ったときに冷やっとした触感が得られると謳う「冷感」「涼感」には、こんな素材を使って、何度以下にならなければならない、というような品質基準の定めはありません。ひんやりとした感覚の持続時間は、素材によっても異なります。「冷感」「涼感」を謳う商品を使う場合は、表示を確認して、通気性、吸水性、透湿性の高い素材を選ぶとよいでしょう。
4.夏でも掛けるものを
掛け布団はいらないと思うような熱帯夜でも、明け方に気温が下がって肌寒さを感じることもあります。近くにタオルケットや薄手の肌掛け布団などを用意しておくと安心です。
タオルケットに関する実験では、多くの人が寝ている間に自然と室温に応じた調整行動をとることが分かっています。暑いと感じたらタオルケットを外し、寒いと感じたら無意識にタオルケットを掛けているのです。寝ている間に動かせない、体の下に敷くものを重要視しましょう。
5.枕は硬めで通気性のあるタイプが涼しさを感じられる
敷布団やマットレスと同様、頭が沈み込む軟らかい枕や低反発枕は、まとわりついて暑く感じます。そば殻や細かいビーズが入っているような硬めで通気性のある枕が涼しさを感じられます。
冷凍庫で冷やす冷却枕も効果的のようです。冷却枕によって就寝時の汗の量が減るなどの効果が見られた研究もあります。ただ、使い方に工夫が必要です。冷えた枕に直接頭を乗せると、冷たさが刺激になり、かえって目が覚めてしまうこともあります。タオルを巻いて使用することで、適度な冷たさで心地良く眠ることができます。枕が温まったときに水滴でシーツがぬれてしまうのを防ぎます。
6.寝るときにはパジャマ着用がおすすめ
パジャマは汗を吸い取ってくれるため、寝具の衛生面という観点でも着用したほうがよいでしょう。気温が下がってくる明け方の寝冷え防止にもなります。ただし、寝冷え防止に何枚も着込むことはかえって汗をかくこともあり、おすすめできません。
7.パジャマはさらっとした生地
汗をかいても肌にまとわりつきにくい、さらっとした生地が夏のパジャマに最適です。しじら織りのサッカー、リップル、楊柳ちりめんなど、表面に凹凸のある生地がよいでしょう。デザインは、首周り、袖口、裾などがゆったりと広がったもののほうが、風通しが良く涼しさを感じやすくなります。
8.寝る前の準備で特に気をつけたいのは水分補給
睡眠中は汗をかくので、体の水分が失われやすくなります。夏は失われる水分量が増えるので、熱中症や脱水症を予防するためにも、寝る前にコップ一杯程度の水分を補給しておくと安心です。特に高齢者はのどの渇きに気づきにくいことが多いため、注意が必要です。
9.快眠効果のある香り
夏に限ったものではありませんが、ヒノキ科やスギ科の樹木の香りに含まれる「セドロール」という成分は、身体をリラックスさせる鎮静作用があるといわれています。特に更年期の女性において、睡眠改善に効果が見られたという報告もあります。
10.夏の睡眠を快適にする最大ポイントは室温調整
室温が29℃を超えると、寝具やパジャマの工夫だけで寝苦しさを解消するのは難しくなります。エアコンなどで室温を下げることを第一に考え、そのうえで夏用の寝具やパジャマの工夫を取り入れましょう。設定温度は28℃程度が目安となります。
一晩中エアコンを使っても問題ないようです。逆に、エアコンをつけたり消したりするほうが、眠りが浅くなり体を十分に休めることができません。抵抗がある場合は、タイマーを活用しましょう。入眠時から睡眠前半にかけてエアコンを使い、後半で切れるようにします。タイマーの設定時間は最低でも睡眠時間の半分が目安で、例えば、8時間寝るのであれば4時間以上を目処に設定しましょう。冷えすぎないよう、エアコンの風は体に直接当たらないように注意してください。