あがり症の克服~緊張するのは自然な反応

【緊張するのは自然な反応】

人前で話をするときや、初めて会う人に挨拶や自己紹介をするときなど、緊張して、うまく話せない、すぐにあがってしまう、といった悩みは誰にでも起こりうる自然な反応なのです。

緊張は心や体が張り詰めた状態で、自律神経のバランスがかかわっています。通常は交感神経と副交感神経がちょうどよい適度なバランスで働いています。不安を感じると交感神経が優位になり、筋肉が緊張して震えたり、顔が赤くなったり、心臓がドキドキしたり、汗をかいたりなど、体に反応が表れます。個人差はありますが、どんな人でも感じることはあります。

不安は生物として必要な感情です。不安や恐怖による警戒心と付き合い、人類は長く生き延びてこられたといわれています。ほどよい緊張感が必要な場面もあります。アスリートは適度な緊張感があったほうが良い結果につながるといわれます。不安や緊張は必ずしも悪いものではないのです。

人前ですぐに緊張する、という悩みから、緊張を隠そうとする安全のための行動をとりがちになります。顔が赤くなったら、他の人に笑われるのではないか、汗だくで手や声が震えてしまったら、失礼な人だと周りを不快にさせてしまうのではないか、と考え、自分にばかり注意が向き、それが不安を強くします。さらに、不安が強くなるほど、赤面、発汗、震えなど、余計に体が緊張して身体反応が高まるという悪循環が起こります。そして、頭が真っ白になって考えられなくなったり、のどが詰まって話せなくなったりします。ますます、自分は人前に出ると緊張する、人前に出るのが苦手、という意識が強くなってしまいます。

【自分以外に注意を向けて、緊張とうまく付き合う】

緊張と上手に付き合う方法の一つは、緊張を極端に隠そうとしないことです。緊張することはごく普通の反応なので、緊張してはいけない、絶対に隠し通さなければならない、と考える必要はないのです。緊張していることが相手にわかってしまってもいいんだ、と思えるようになると、不安は和らいでいきます。人前で話すのって緊張しますよね、などと、不安な気持ちを自分から相手に素直に伝えてみると、かえって好印象を持ってもらえる場合もあります。

周りから自分がどう見えているのかという自意識過剰になると、誰でも不安になり、緊張してしまいます。自分の体に注意を向けてしまいますが、、他の物事に意識を向けると、不安や緊張を軽減することができます。

【他の物事に注目し緊張に対処する「注意トレーニング」】

1.画家やカメラマンになったつもりで、目の前にある人や物を観察する

似顔絵を描く画家やカメラマンになったつもりで、目の前にいる人の顔を観察します。実際に絵を描く必要はないのですが、似顔絵を描くために、顔の形、目の色、髪の長さなどを細かく観察します。相手に注目するので、自分に意識が向かなくなります。目の前にある物や風景でもOKです。

ラジオのアナウンサーになったつもりで、目の前で起こっていることを実況中継してみるのもひとつです。ラジオには映像がないため、細かく伝えようとじっくり観察すると、意識が自分から逸れます。

2.さまざまな音に、順番に意識を向けて聞く

何気なく音楽を聞いているときは、メインボーカルの声や主旋律だけが聞こえることが多いです。耳を澄ませて、さまざまな楽器の音に意識を向けます。例えば、最初はギターの旋律だけを追いかけ、2番目にベース、3番目にドラム、4番目にボーカルというように、時間をかけて順番に意識を変えます。もう一度全体を聞きます。

このように、自分以外の物事に集中する練習をすると、緊張しやすい場面でも、注意を向ける先を変えることができるようになります。

【常に苦しい状態が6ヵ月以上続くとき】

人前で話すのがあまりに怖くて、ずっとそのことばかり考えてしまう。人と接することを考えただけで苦しく、学校や会社に行くのが毎日つらい。このような状態が長く続き、日常生活にも支障が出てしまう場合は、心療内科や精神科を受診することをおすすめします。社交不安症(社交不安障害)かもしれません。

社交不安症は、人前に出たり、人と接したりする場面で極端に強い不安を感じる病気です。常に苦痛を感じる状態が6ヵ月以上続くことが診断の目安となります。

【あがり症 当院の場合】

あがり症は、社会不安症のひとつで、誰にでもおこりうる症状です。嫌われたらどうしよう、失敗したらどうしよう、といった感情から、発汗、動悸などの症状となってあらわれます。嫌われてしまったら、困ることはなんだろう、失敗したら次のチャンスはいつだっけ。ほんの少しだけ目線を変えると、なにか違った面がみえてくるかもしれません。

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この記事を書いた人

鍼灸マッサージ師をしています。
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