お灸教室 梅雨前の足のむくみ対策

夕方をすぎると立っているのもしんどい、歩きすぎて足がだるい、疲れがたまって足がパンパン。こんなときに足がむくんでいること、ありませんか。雨の日の前後や、湿気が気になるとき、特にむくむことが多いようです。梅雨を前にむくみはなぜ起こるのか、そんなときのむくみ対策としてのお灸はどこにすえたらいいのか、など、お灸教室を開催しました。

【お灸って?】

お灸教室で最初にお話しするのは、お灸って、昔の人の不調回復アイテムとして機能していたこと。今のように〇〇〇シップなど、サッと気軽に使えて、酷くない症状ならあっという間に回復してしまえるような便利なものがなかった時代、肩が凝ったり、腰が痛かったりしたとき、身近にある材料でお灸をしていました。お灸をすることを「お灸をすえる」といいます。

時代劇や少し前を舞台にした映画やテレビドラマで、「もぐさ」を形作って背中に乗せ火をつけてもくもくさせているシーンが出てくることがあります。あつ~といいながら、おじいさんなどが我慢している様子も出てくることもありました。「懲らしめてやろう」という意味の「お灸をすえる」というのは、こんな情景なのかもしれません。

お子さんが調子が悪いときなどにもお灸をしていました。現在放送されているNHK朝のテレビ小説「らんまん」でも主人公がお灸をしてもらっている場面が出てきています。

すこし前に映画館で上映されていた「仕掛人藤枝梅安」。主人公は表稼業が鍼灸師、裏稼業は殺し屋。主人公が鍼灸をしている場面では、灸頭鍼という、鍼の先にもぐさを丸め、お灸している様子が出てきています。

【もぐさ】

誰もが身近にある材料でできるお灸は、よもぎの葉で作ります。よもぎ餅のよもぎです。よもぎには、シネオールという薬効成分が含まれていて、血行促進、冷え性の改善、老廃物の排出、リラックス効果、安眠作用なとの効果が期待できるすぐれもの。そのよもぎの葉を乾燥させ、裏側にある細い毛だけを集めたものがお灸の原料「もぐさ」です。これを丸めて火をつけて「お灸」として使います。

【お灸は怖い、熱い?】

もぐさを丸めただけのものですから、そこに火をつけて燃やす、、、やけどしない?怖くない?熱くない?そこで、燃やしきってもさほど温度があがらず、お灸効果もそのまま、という手軽に使えてとても便利な台座灸が考案されました。紙パルプの台座で温熱をコントロールしているのです。紙パルプの台座ともぐさの間は空いているので、やけどの心配もほとんどなく、正しく使えばだれでも安全に使うことができます。もぐさの下には空気の層、じっくり熱を伝えるため、火が直接肌にふれず、やけどをしにくい構造になっているのです。どのお灸メーカーでも、一番低い熱の台座灸だとだいたい43℃程度なので、少し熱めのお風呂の温度くらい。詳しくは各メーカーにお尋ねください。

【お灸をすえる場所】

お灸をすえる場所は、血行不良を起こしている場所。皮膚の表面をなでて、指が滑りにくくなっているところや、皮膚に張りがなく凹んでいるところ、皮膚の表面が乾燥しカサカサざらついているところ、指がすべりづらくひっかかりを感じるところ、などの特徴があります。そのような場所は、皮膚の下にある毛細血管が健康なときに比べて細くなっています。毛細血管では、酸素を細胞に渡し、細胞からは二酸化炭素を受けとる大事な仕事をしています。そのやりとりが弱くなっているところが、血行不良を起こしている場所なのです。このようなお肌にあらわれる血行不良のポイントが「ツボ」。ツボの場所はだいたい決まっているので、そのあたりで、表面をなでてお灸をすえる場所をさがしていきます。

【むくみ】

細胞と細胞の間には、間質液という液体があります。間質液は毛細血管からしみだしたり、余分な間質液は戻ったりしていきます。この染み出す量が戻る量を上回ると、むくんでいる、という状態になります。つまり、細胞の間の間質液が多い状態です。むくみの原因は、

・筋肉量が少ない
・加齢による女性ホルモンの減少
・運動不足による血液、リンパの滞り
・ストレス
・たんぱく質不足
・塩分過多
・腎機能の低下

など。血液、リンパの滞りの解消と、ストレスの軽減は、お灸の効果が出やすく、続けていくことで改善していくことも多いです。

むくみは休息したり睡眠をとったりして、すぐ治るものはそれほど心配する必要はないのですが、病気が潜んでおり、その一症状として出ることがあります。

・動悸・息切れが続く
・朝になってもむくみが続く
・普段と同じような食生活なのに、尿の量が減ってきた
・1日で1.5キロ以上または数週間で3キロ以上体重が増加する

といった症状があるときには、クリニックへの受診をおすすめします。

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この記事を書いた人

鍼灸マッサージ師をしています。
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