こむらがえりは筋肉の異常な収縮

突然、ふくらはぎに激痛が走る、こむらがえり。運動中や就寝中に起きやすく、あまりの痛みで動けなくなります。こむらがえりは、なぜ起こるのでしょうか。

【主にふくらはぎに起こる痙攣】

こむらがえりは、主にふくらはぎの筋肉が異常に収縮して、痙攣(けいれん)を起こす症状です。こむらがえりの「こむら」とは、ふくらはぎのことをいいます。ふくらはぎに多く起こりますが、実は、足の裏や指、太もも、胸など、体のどこにでも発生するのです。運動中や就寝中に起こることが多く、妊娠中や加齢によっても起きやすくなります。こむらがえりを起こすと、強い痛みを伴いますが、ほとんどの場合は数分間でおさまります。

【筋肉の異常な収縮が原因】

ふくらはぎなどの筋肉は、必要以上に伸びたり、収縮したりすると、無理な動きによって傷めます。それを防ぐために、2つのセンサーが備わっています。伸びすぎを防ぐのが筋紡錘(きんぼうすい)、縮みすぎを防ぐのが腱紡錘(けんぼうすい)です。そのうちの腱紡錘の働きが低くなると、筋肉が異常に収縮し、痙攣を起こしてしまいます。それが、こむらがえりです。

【マグネシウム不足に注意】

腱紡錘の機能低下には、さまざまな原因が考えられます。最も大きな原因といえるのが、ミネラルバランスの不調です。カルシウムとカリウムは、筋肉の収縮や神経の伝達をスムーズにする働きがあります。この2つのミネラルを調整しているのが、マグネシウムです。3つとも大切なミネラルですが、特にマグネシウムの不足は腱紡錘の機能低下に大きな影響を与えます。

【発汗による脱水や冷えも原因】

ミネラルバランスの不調のほか、運動中や就寝中の発汗による脱水、冷えなどの血行不良も腱紡錘の機能を低下させる原因になります。また、加齢によっても腱紡錘のセンサー機能は衰えます。そのため、60歳以降はこむらがえりが起こりやすくなります。さらに女性は妊娠中ミネラル不足になりやすく、それが原因でこむらがえりを引き起こすことがあります。

【ミネラル不足を防ぐ】

予防するには、十分なミネラルの摂取です。マグネシウムは、アオサやワカメ、ヒジキなどの海藻類のほか、ナッツ類に多く含まれています。 また、カルシウムは牛乳やチーズなどの乳製品、豆腐や生揚げなどの大豆製品、ししゃもやしらすなど、骨ごと食べられる魚に多く含有されています。 カリウムは、長いもやさつまいもなどのイモ類、バナナやキウイなどの果物に豊富です。これらの食品はミネラルだけでなく、ほかの栄養価もすぐれています。

【運動中や就寝前は水分補給】

運動時や就寝時は、水分不足でこむらがえりが起きやすくなります。運動中は、スポーツドリンクなどで水分とミネラルをこまめに補給しましょう。また、運動前にカリウムが豊富なバナナを食べるのも予防になります。就寝前にコップ1杯の水を飲むことも有効です。足が冷える人は、就寝時に靴下やストッキングを履くのも、予防につながります。

【筋肉をほぐす「波止場のポーズ」】

こむらがえりの予防策としては、筋肉をほぐす「波止場のポーズ」が簡単で効果も期待できます。30〜50cmの台や椅子に片足を乗せます。この足に体重をかけ、もう片方の足はかかとを上げないようにして、太ももとふくらはぎの筋肉を伸ばします。そして、息を吐きながら7秒キープすればOK。足を入れ替えて、同様に行います。左右の足、それぞれ15回ずつ繰り返すと、ふくらはぎや太ももの筋肉がストレッチされ、血行がよくなります。

【応急処置は患部を伸ばす】

こむらがえりが起きた場合は、応急処置として患部を伸ばします。足の指を持ち、体の方へと引き寄せ、アキレス腱を伸ばしましょう。また、壁に足の裏を押しつけて、ふくらはぎを伸ばしてもよいでしょう。ただし、無理やり一気に伸ばすと筋肉が損傷し、肉離れを起こすことがあります。慎重に、ゆっくり伸ばしてください。

【筋弛緩薬や漢方薬】

こむらがえりは、大半が一過性です。でも、たびたび続く場合は、念のため、循環器系か神経内科、あるいは整形外科を受診しましょう。筋肉を弛緩させる、筋弛緩薬が処方されることが多く、ほとんどの場合は治癒します。副作用として、脱力感やフラフラ感が起こることがあります。 また、漢方薬が処方されることもあります。

【こむらがえりと似た病気に注意】

こむらがえりは死に至る病気ではなく、予後は良好が、こむらがえりと似た症状で、背景には重篤な病気が潜んでいる場合があります。たとえば、こむらがえりが大胸筋で起こると、心筋梗塞や狭心症と似たような強い痛みが胸にあらわれます。数分経過しても、痛みがおさまらない場合は、早めに受診したほうがいいでしょう。

【ふくらはぎの治療(当院の場合)】

ふくらはぎの場合、腓腹筋、ヒラメ筋が急な緊張を起こしにくくするように、ツボを狙って鍼をします。さらにそれらに緊張をもたらす別の場所を探っていきます。冷えが原因も多いので、足を温めるお灸をすることもあります。

  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

鍼灸マッサージ師をしています。
当院へのご予約は、下記一番左のリンクボタン、又は右側の[ご予約]をクリックください。

目次