カゼにしては、治りにくい~マイコプラズマかも

マイコプラズマ感染症(マイコプラズマ肺炎)、例年11月~12月の冬場に患者数が増えていく傾向にありましたが、最近では、年間を通じて全年齢層に発生が見られています。マイコプラズマ感染症は子どもがかかりやすい病気ですが、大人もかかることがあり、生命に関わる合併症を引き起こすこともあります。ここではマイコプラズマ感染症の症状や予防対策をお伝えします。

【マイコプラズマ感染症とは】

マイコプラズマ感染症(マイコプラズマ肺炎)とは、「肺炎マイコプラズマ(マイコプラズマ・ニューモニエ)」という細菌感染することで引き起こされる感染症です。多くの人は細菌に感染しても、軽い気管支炎などで済みますが、一部の人は、肺炎を引き起こし、重症化することがあります。以前は、流行が4年周期であったことから、「オリンピック熱」などと言われた時もありました。現在では1年を通じて流行が見られ、冬にやや増加することが判明しています。感染経路は飛沫感染や接触感染で、感染から発症までの潜伏期間は2~3週間程度です。

【マイコプラズマ感染症の症状の特徴】

マイコプラズマ感染症は、5~14歳くらいの子どもが最も罹りやすいと言われていますが、乳幼児や大人も感染することがあります。一般的に大人が感染すると子どもより重症化しやすいようです。全世代に共通するマイコプラズマ感染症の症状は、以下です。

・発熱
・全身の倦怠感
・しつこくて激しい空咳
・ヒューヒュー、ゼーゼーするような呼吸

このほか、大人の場合は気道の炎症で分泌物が増えていき、コンコンとした空咳ではなくゴホゴボとした「湿った咳」が出ることがあります。また、発疹、肝炎、胃腸炎、心筋炎、脳炎などの合併症が起こるリスクや、高齢者では胸に水が溜まる「胸水貯留」、呼吸不全などを引き起こすことがあります。こうなってくると入院しなくてはならなくなることもあります。

〔すぐに病院受診した方がいい症状〕
・食事や水分がとれない
・呼吸回数が異常に多くて、呼吸が苦しそう
・呼吸するときに、鼻が膨れたり縮んだりする
・呼吸するときに、首の正面や肋骨の間が凹む
・肩で息をしたり、うめくような呼吸をする
・激しい咳込み

上記のような症状があるときは、すぐに病院を受診しましょう。

普通の肺炎では、空気が通っていく気管支や、肺胞が傷害されるため、聴診器で聞くとゼロゼロした痰が絡むような音が聞こえます。ところが、マイコプラズマは、気管支や肺胞の外部にある間質という組織で炎症を起こすため、ゼロゼロした音が出てこないのです。経過が長びいてくると、炎症が気管支や肺胞にも広がって、ゼロゼロした音が聞こえるようになります。潜伏期間が2~3週間と長いため、周囲にマイコプラズマにかかった人がいたら、しばらく用心しましょう。

【カゼにしては、治りにくいと思ったら】

マイコプラズマという菌が肺に感染しておこる病気なので、しつこい咳と、頑固な発熱が特徴です。聴診器で呼吸音を聞いても異常とみなされず、外見だけではわかりにくい肺炎ともいわれています。

 おおかたが、外来治療で治るようですが、薬の効きにくいマイコプラズマ肺炎も増えてきており、注意が必要な疾患です。

【合併症】

マイコプラズマは間質の肺炎ですが、よくある気管支炎や肺炎も合併することがあります。気管支喘息になってしまうこともあります。そのほか、中耳炎、副鼻腔炎、いろいろな発疹が見られることもあります。稀な合併症としては、一時的ですが心臓に異常が見られることがありますが、短期間で治るようです。

【診断】

マイコプラズマの診断は、難しいようです。体内でバイ菌が繁殖しだすと、白血球や、CRP(炎症反応)が、高値になります。ところが、マイコプラズマでは、殆ど変化がなく、一般的な血液検査は当てにならないのです。

 マイコプラズマに罹ると、マイコプラズマの抗体(MPHA)ができます。この抗体を調べればマイコプラズマに罹ったかどうかということがわかります。しかし、少々咳や熱がみられても、マイコプラズマが疑われることは少なく、ある程度症状が進んでから検査されることが多いです。

 現在は、LAMP法という検査がもっとも正確な検査と言われています。もう一つ、プライムチェックというマイコプラズマ抗原を調べる検査もあります。LAMP法と比較すると、やや精度は劣りますが、検査結果はすぐわかります。

 確実に診断することは難しいのですが、年長児のマイコプラズマは比較的わかりやすい経過~しつこい咳と頑固な発熱のわりには、聴診器では正常な呼吸音~をとりますので、経過を診ながら、検査を行って診断します。

【マイコプラズマ感染症の予防法】

マイコプラズマ感染症の感染経路は、飛沫感染や接触感染で、せきやくしゃみから感染することが多いと言われています。予防は、感染した人との接触をできるだけ避け、普段から手洗い・うがいをしっかり行うことです。また、人混みのある場所や閉め切った室内に行くときには、マスクをつける方が良いでしょう。

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この記事を書いた人

鍼灸マッサージ師をしています。
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