健康寿命を延ばすには?

日本は世界でも有数の長寿国です。WHO(世界保健機関)が発表したデータでは、2016年での日本の男女の平均寿命は84.2歳。世界第1位でした。ところが、自立して元気に日常生活を送ることができる期間を表す「健康寿命」は74.8歳となっており、1位のシンガポールについで第2位となっています。

平均寿命と健康寿命との差が大きいことは、日常生活が自立できず、行動などが制限されてしまう「不健康な期間」が長くなってしまっていることを意味しているのです。不健康な期間は、日本では約10年となっています。元気に歳を重ねるためには、健康寿命を伸ばしていくことが重要となっています。

【健康寿命を延ばすには?】

健康寿命が短くなる要因には、脳卒中や認知症などの疾病の他に、身体機能が低下しておこりやすくなる転倒や骨折があげられます。つまり、転倒や骨折をいかに予防していくことこそ、健康寿命を伸ばすことにつながっていきます。そのためのポイントは「運動」「食事」「社会参加活動」の3つです。

① いろいろな運動を組み合わてみる
1日15分以上、歩くだけでも健康寿命が伸びると言われています。運動を行う時は「少し息があがるけれど、おしゃべりはできる」くらいの強さで行うのが効果的です。運動を日頃、日常的に行っていない方は、まずは普段の生活の中で、10分でも多く体を動かしてみてはいかがでしょうか。そのとりかかりとしておすすめなのが、「歩く」ことです。ほんの近くまで車に乗っていたところを、歩いてみましょう。

既に運動習慣のある方にとっては、さらに健康を促進するために、1週間に合計150分、約2時間半の有酸素運動に加え、週2日以上の筋力トレーニングを行うのが理想的といわれています。これらの運動に加えて、ストレッチやバランストレーニングを取り入れると更に効果が期待できます。

② 野菜、果物、魚を積極的にとり、バランスの良い食事を

野菜は1日350グラム以上、果物は200グラム以上の摂取が目標とされています。厚生労働省の調査「平成30年(2018年)国民健康・栄養調査」では、野菜類の平均摂取量は成人男性が約290グラム、女性は約270グラムとなっており、推奨される量を下回っています。野菜や果物を積極的に摂るようにしましょう。

野菜や果物にはビタミンやミネラル、食物繊維が多く含まれています。ビタミン類は、炭水化物をエネルギーに変える手助けをする重要な栄養素です。ミネラルも同様で、カリウムは、日本人が摂りすぎの傾向であるナトリウム(塩分)を排出する作用があります。食物繊維は、糖質や脂質の吸収を抑える働きがあり、脳卒中や心筋梗塞のリスクを下げる効果があるといわれています。また、最初に野菜を食べると、糖の吸収は緩やかになります。

肉や魚は5大栄養素のひとつ、タンパク質を多く含む食材です。牛や豚などの肉や加工肉は飽和脂肪酸が多く含まれ、LDLコレステロール(悪玉コレステロール)を増やす働きがあります。動脈硬化につながる恐れがあります。DHAやEPAなどの魚に含まれる多価不飽和脂肪酸は、動脈硬化や血栓を防ぎ、血圧を下げるほか、悪玉コレステロールを減らすなど、さまざまな良い作用があります。肉類中心から、魚中心の食事を取り入れるように心がけましょう。

同じような食材、同じメニューばかり食べていると、お腹は満たされても必要な栄養素が不足してします。さまざまな食材を取り入れるよう意識してみましょう。間食は控えめにして、1日3食しっかり食べ、単品よりも主食、主菜、副菜をそろえた定食スタイルを心がければ、細かく栄養素を考えなくても栄養バランスが整った食事となっていきます。

適切な飲酒による、適度な量のアルコール摂取は糖尿病の発生を抑えると考えられています。具体的には1日あたり20g程度のアルコール摂取が、一応の目安とされています。ビールなら中ビン1本、日本酒1合、ワインはグラス2杯弱の量となります。それを超えてしまう飲酒量では、肝臓に脂肪が蓄積し影響が大きいことや、すい臓からのインスリン分泌を抑える影響から、逆に血糖値を上昇させる可能性があります。高齢者の場合は、飲酒量が増えると脳が萎縮、認知機能の低下につながることもあるといわれています。

③ たくさん出かける
社会参加活動をして他の人と交流したり、生きがいを持ったりすることが、健康寿命を伸ばすという研究結果が多く報告されています。いろいろな趣味を持ったり、ボランティア活動などをすることが、認知症の予防にもつながると言われています。ぜひ、お友達にも声をかけてお出かけしてみてください。

【さらに取り組むと良いポイント】

  • 喫煙は控える
  • 過度な飲酒を控える
  • 食事は年齢に応じた量をバランス良く
  • 活発な身体活動を行う
  • 睡眠時間をしっかり確保する
  • 孤独にならず、社会関係を保つ
  • 定期的に健康診断をうける
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この記事を書いた人

鍼灸マッサージ師をしています。
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