味覚の変化を感じたら、気をつけることは

【薬の副作用と病気に注意】

味覚の変化の原因として、注目されているのは薬の影響があげられます。中高年になると、生活習慣病などの慢性的な病気の治療で、長期にわたり薬を飲み続ける事例が増えてきます。高血圧や糖尿病、心臓病などの治療薬のなかには、亜鉛の排出を促したり、亜鉛の働きを低下させたりするものが多くあります。

また、解熱鎮痛薬や消炎薬、睡眠薬、精神安定薬、抗生物質などにも亜鉛を体外へ排出させやすいものがあります。このように薬が亜鉛不足を引き起こし、味覚障害を起こしてしまう例は少なくありません。亜鉛に影響を与える薬は、二百種類以上あることが知られています。

投薬治療中、食べ物の味がわからなくなったり、何を食べても変な味がするといったことがあったら、医師に相談をおすすめします。

もう一つ注意したいのは、病気によるもの。口内炎や舌炎などがあると、食べ物がまずく感じてしまう経験はないでしょうか。こうした病気は不快感があるのでわかりやすいのですが、歯周病は自覚しにくいものの一つです。味覚の変化のほかに、歯磨きのときに出血しやすい、歯がぐらぐらするといった場合は、歯周病の影響も疑ってみることが大事です。

味覚の変化が、隠れた病気から起こる場合もあります。糖尿病や肝臓病、腎臓病、胃腸障害、ホルモン機能の低下、うつ病などの病気が、味覚の変化を起こしやすいことがわかっています。糖尿病の場合では、神経や腎機能に障害を受けることで味覚障害を起こしやすくなるといわれています。

ただ、病気そのものが原因なのか、病気によるストレスや薬の影響なのかは、自分では判断できません。急激に味覚の変化が起こった場合は、まず医師に相談してみることが大切です。

【日常生活で気をつけたいこと】

味覚の変化は、体調管理の目安になります。加齢のせいと考えずに、味覚の変化があった場合は次の点を見直してみることをおすすめします。

一つめは、薄い味をもの足りなく感じ、濃い味を好むようになっていないかどうか。血圧や血糖値が高めの方は要注意です。一般に、外食や市販の総菜、弁当などは濃い味付けになっています。こうした食事が増えていたり、さらにしょうゆやソースをたっぷりかけて食べていないでしょうか。

二つめは、亜鉛不足になっていないかどうか。亜鉛が不足すると、味覚障害だけではなく、ストレスを感じやすくなってイライラしたり、不眠になることもあります。

亜鉛はカキ、レバー、うなぎなどに多くふくまれています。これらは毎日のように食べるものではありませんが、日常の食事では牛や豚のもも肉、木綿豆腐、納豆、ゴマ、ナッツ類などを積極的にとりましょう。また、生活習慣病などで薬を飲んでいる方も、亜鉛不足にならないように食生活を見直してみます。

カルシウムや食物繊維にも亜鉛を体外へ排出する働きがあります。日常の食事程度なら影響はありませんが、サプリメントなどで多くとる場合には注意が必要です。

三つめは、口のケア。歯磨きだけでなく、舌苔をためないように舌のブラッシングも大切です。歯ブラシで軽くこするだけでも効果はあります。歯周病の疑いがある場合は、早めに歯科で診察を受けてください。

唾液の減少が考えられる場合は、食べ物をよく噛むと唾液の分泌が促進されるので、時間をかけてゆっくり食べる習慣を。不安や緊張などのストレスから唾液が減少し、味覚の変化を起こすこともあります。ストレスがたまっていないか、生活全般を見直してみることも大切です。

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この記事を書いた人

鍼灸マッサージ師をしています。
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