男性にもある更年期障がいLOH(ロー)症候群

更年期障がいといえば、女性の閉経前後に発生する不快は諸症状が知られたところですが、男性にも同じように更年期障がいがあります。男性の場合も女性と同じように、性ホルモンが減ってしまうことが原因です。男性の性ホルモンはテストステロンと呼びますが、最近このテストステロンが男性の健康に大きな影響力を持っていることがわかってきました。

【LOH症候群(加齢性腺機能低下症)】

加齢に伴い、テストステロン値が減ってくることによる症候を late onset hypogonadism (LOH症候群、加齢性腺機能低下症)と呼びます。LOH症候群は、うつ症状、性機能の低下、認知機能の低下、骨粗しょう症、心血管疾患、内臓脂肪の増加、インスリン抵抗性の悪化、HDLコレステロール値の低下、総コレステロール値とLDLコレステロール値の上昇に関わり、メタボリック症候群のリスク因子になります。また心血管の疾患、糖尿病、呼吸器の疾患のリスクを高めます。LOH症候群は、大うつ病の患者が含まれることが多いとされています。テストステロン値が低いと、活力と性機能が損なわれ、QOL(生活の質)に大きな影響を与えていきます。

【男性の更年期障がいの症状】

男性の更年期障がいで、よくみられる多い症状は、疲労感や倦怠感(だるさ)、性欲の低下、ED(勃起不全)などです。これらは長い間、加齢による防ぐことが難しい症状だと考えられてきましたが、実は男性更年期障がいによるものが大きいということがわかってきました。

男性の更年期障がいでは、他にも、ほてりやめまい、のぼせ、発汗、動悸などの自律神経不調による身体症状のほか、イライラや抑うつ状態、不安感の増加、無気力などの精神症状となって現れます。いずれも加齢のせい、と思って見過ごしてしまいがちな症状ですが、放置しているとどんどん悪化してしまうこともあります。

【テストステロン減少が原因】

男性の性ホルモンである、テストステロンは、20歳頃をピークとして、年齢とともに緩やかに減っていきます。ただ、減り方には個人差があり、女性の閉経のように、多くの人がはっきりと減少する時期というのがないようです。早い人では30代で発症しますし、60代を過ぎても特に症状の出ない人もいます。

テストステロンは、主に性欲や男性らしさを司るホルモンと考えられていました。テストステロンには、体毛を増やしたり、はつらつとした精神状態を作る、生活習慣病のリスクを下げるなど、男性の身体機能を維持する上で欠かせない役割も持っていることがわかってきています。

【検査・診断】

男性更年期障がいは、男性ホルモンであるテストステロンの減少を原因として発症する病気であるため、テストステロンの状況を評価するための血液検査が行われます。血液検査では、総テストステロン、遊離型テストステロンの測定します。

また、男性更年期障害とうつ病は、類似した症状を示すことがあります。AMS(Aging Male Symptoms rating scale)スコアという、男性更年期障がいにみられる症状がどれくらい当てはまるのかをみるための問診票、を活用しつつ、詳細な問診を重ねていき、うつ病との鑑別を行っていきます。

男性更年期障がいでは、治療の一環で、男性ホルモンの補充を行います。しかし、もし前立腺がんが隠れているとがんの増悪を誘発することになるため、事前に前立腺がんにかかっているかどうかの評価が必要です。具体的には、血液検査を行いスクリーニングを行います。

【治療・対策】

男性更年期障がいと診断された場合は、注射で直接テストステロンを補充する治療法のほか、サプリメントや漢方薬でテストステロンの分泌を促す治療が検討されたり、カウンセリングなどのメンタルケアを進めていくこともあります。

また、症状緩和のためには、病院での治療だけでなく、普段からテストステロンを減らさない生活を心がけることも大切になってきます。次のようなことを意識して生活するようにしましょう。

  • 過度なストレスを溜めない
  • 良い睡眠をとる
  • 適度な運動と筋トレをする
  • バランスのとれた食事、タンパク質やネギ類を積極的に摂る

テストステロンは、ストレスで激減することがわかっています。まずはストレスを溜めないように、適度に発散し、睡眠をしっかりとることを心がけてください。また、運動と筋トレはテストステロンを増やし、タンパク質やネギ類はその効果を高めてくれると言われています。積極的にとりいれると良いでしょう。

男性更年期障がいは、日常生活の中での、やりがいのなさが誘因となっている側面もあるとの報告があります。日常生活の中でやりがいや充実感を感じられるように生活スタイルに工夫を取り入れることの大切です。

【テストステロンは重要なホルモン】

テストステロンはそもそも男性っぽさを保つために大切なホルモンですが、男性の健康維持にも重要な役割を持っています。男性更年期障がいの予防や症状を和らげるためにも、テストステロンの減少を防ぐ生活習慣を心がけましょう。

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この記事を書いた人

鍼灸マッサージ師をしています。
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