口の中と糖尿病の深い関係とは

歯の視点からの糖尿病について。

歯周病と糖尿病はお互いに影響を与えあっていると言われています。糖尿病の方は歯周病にもかかりやすい。また、歯周病になると糖尿病の症状が悪化するとも言われています。歯科クリニックで歯石除去など、歯周病治療で炎症が改善すると、糖尿病も改善することが分かってきています。

【歯周病とは】

歯周病は、細菌の感染で歯ぐきが赤く腫れたり、歯が抜け落ちたりする歯の病気です。口の中には、400~700種類くらい、細菌がいるといわれていますが、通常は悪さをしないのです。ところが、歯磨き不十分だったり、甘いものを食べ過ぎたりすると、歯と歯ぐきの間に、細菌の集合体である歯垢(しこう)ができると、細菌が増えていきます。歯ぐきに炎症が起きていきます。

歯周病は怖いことに、痛みがないことがほとんどなのです。つまり、気付かないうちに、歯周病が進行してしまい、最悪の場合、自分の歯を失う可能性があります。最近の研究では、歯周病が歯だけでなく、動脈硬化や心臓病など、全身に悪い影響を与えることが明らかになってきています。歯周病は、小さい子どもから大人まで、誰もがかかる可能性のある病気です。歯周病になりやすい人の特徴も分かってきています。

歯周病になりやすい人の特徴は、喫煙者、歯ぎしりをする、甘いもの好き、義歯が合わないなどが挙げられます。歯周病は予防できる病気であり、正しい歯磨きや、歯石の除去、定期的な歯科健診などで予防ができます。

【歯周病が悪いのは】

歯の周囲の炎症が進むことにより、歯と歯肉の間の溝が深くなっていきます。歯周ポケットが形成されます。5mm程度の歯周ポケットが28本、全ての歯にあると、歯周ポケット表面積の合計は、手のひらと同じ程度になると言われています。体の中で、手のひらの大きさの病巣があり、常に炎症が起こっているということは、かなり大きな問題だということが想像できます。歯周ポケット内で炎症に関する物質がつくられ、血管から全身を巡っていき、血糖値を下げるインスリンを効きにくくし、糖尿病が進行しやすくなっていきます。

【口腔清掃】

歯周ポケットが深くなるのは、歯の表面に付着している口腔細菌の塊、歯垢(しこう)です。歯垢は水や洗口剤(せんこうざい)などで口をすすぐだけでは除去できません。歯磨きで除去する必要があります。また、歯科クリニックでの定期的な歯石除去もとても大切です。

【糖尿病で口腔内が乾燥することも】

もう一つ、口腔と糖尿病の関わりがあり、糖尿病に罹ると、口腔内の乾燥症状が出ることがあります。高血糖が引き起こす脱水傾向のため、唾液の量が減ることが原因だと言われています。歯周病菌の繁殖を抑制し、洗い流してくれる役割を持つ唾液の量が減ってしまうと、菌が増えて歯周病が悪化する恐れもあります。負の連鎖になってしまいます。

【生活習慣の見直し】

歯周病も、糖尿病も、ともに生活習慣病です。毎日の食生活を含めた生活習慣を見直していき、日々の歯磨きや、定期的な歯科受診で歯周病を予防することは、糖尿病を予防・改善することにも繋がっていきます。

【歯周病の症状】

歯周病で起きる症状には、以下のようなものがあります。
・朝起きたとき、口の中がネバネバしているように感じる
・歯磨きをすると、歯ぐきから出血する
・口臭が気になる
・歯ぐきがかゆい
・歯ぐきが赤く腫れている
・固いものがかみづらい
・歯が長くなったように感じる
・歯と歯の間に隙間がある

【歯周病の検査】

歯周病の初期では、症状がほとんど出ないため、医療機関での検査を受けないと正確な診断ができません。歯周病の検査方法には、プロービング検査、X線検査(レントゲン検査)、歯垢の付着率の検査などがあります。

【歯周病の治療】

歯周病の治療法には、基本治療と外科治療があります。歯周病の基本治療は、歯周病の原因となる、歯垢(しこう)や歯石(しせき)の除去、ぐらぐらと動く歯の噛み合わせの調整などが行われます。歯垢の除去は、自宅での正しい歯磨きがとても重要になります。

基本治療で歯と歯ぐきのすき間の深さが改善されれば、定期的な歯科健診へと移行していきます。外科治療では、基本治療で改善しない時に、手術で歯と歯ぐきのすき間の深さを減少させたり、溶けて失われた骨を再生させることがあります。

【正しい歯磨き】

歯周病の原因となる歯垢(しこう)を取り除くためには、毎日の正しい歯磨きが大切です。医療機関で正しい歯磨きの仕方の指導を受けてみるのもよいでしょう。

歯ブラシは、歯のすみずみまで毛先が当たるものを選ぶとよいです。毛先が開いた歯ブラシは使用するのをやめましょう。歯ブラシは見た目に変化がなくても1か月に1回は交換した方が良いといわれています。歯垢をしっかり落とすために、歯間ブラシやデンタルフロスなども使いましょう。

【心がけることは】

生活習慣の乱れによって免疫力が低下すると、細菌の感染症である歯周病も発症しやすくなります。禁煙、節酒、バランスのよい食事、十分な睡眠、適度な運動などを心がけましょう。

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この記事を書いた人

鍼灸マッサージ師をしています。
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