糖質制限とメタボの関係を知ろう

糖質制限は効果があるのだろうか、とか、糖質制限は最初は効果があったが、だんだんと横ばいになってしまった、と気にしている人が多いようです。ご飯を抜くことだけが糖質制限だと勘違いしている人もいるようです。実際に、糖質制限はメタボの改善や予防に役立つのでしょうか。

【糖質制限の歴史】

ご飯、パン、麺類などの、糖質を含む食品を控えたり、制限したりする糖質制限。3食とも糖質を制限している人や、夕食だけご飯を抜いているという人もいます。糖質制限の歴史は、1970年代、心臓外科医であったロバート・アトキンス医師と、自分自身が1型糖尿病であったリチャード・K・バーンスタイン医師の著書がきっかけとなり、米国で糖質制限の第1次ブームが起こりました。

その当時、米国では心臓病、心筋梗塞や狭心症などに罹る人が多く、予防するために低脂肪食が推奨されていました。しかし、その反動で炭水化物をとり過ぎて肥満になっている人が増えていったのです。そこで、糖質を制限するダイエットが減量に有効だったとも考えられます。

日本に糖質制限が入ってきたのは、米国で第2次ブームが起こった2000年代でした。糖質のみ気をつければよい、という単純なダイエット法だったため、人気を出たのかもしれません。現在、その時のブームは去りましたが、糖質の制限をされている人は様々です。また、糖質オフや低糖質を売りにした食品が多く開発され、ビジネス展開されています。

【糖質とは】

糖質とは、三大栄養素である炭水化物、タンパク質、脂質のうち炭水化物の一部です。炭水化物は、人が消化吸収できる糖質と消化できない食物繊維の二つに分けられます。

糖質は、生きていくうえで必要なエネルギー源となっている重要な栄養素です。一方、食物繊維は腸内環境を整えるなど、健康を維持するために必要な役割を持っています。

糖質には「糖」という字がついているので「糖質=甘い」と思われがちですが、甘い糖質と甘くない糖質があります。

【甘い糖質】

砂糖や水あめなどが甘い糖質の代表的なものです。果物の甘さなども糖質によるものですから、イメージしやすいかと思います。代表的な甘い糖質は、ブドウ糖、果糖、砂糖などです。

【甘くない糖質】

デンプンが甘くない糖質の代表です。デンプンは米や小麦粉、いもなどの主成分です。ご飯やパンなどはたくさんの糖質を含んでいることになります。

【糖質の短期的効果と長期効果】

糖質制限で体重が減るしくみは2つ、考えられています。

1つ目は、グリコーゲンが枯渇することにより、水分が失われるのです。初期に数kgの体重減少がみられます。これは脂肪が分解されたわけではないのです。ヒトは糖質または脂質をエネルギー源として用います。糖質を制限すると血液中にケトン体という物質が増えやすくなります。

2つ目はこの血中のケトン体が満腹中枢を刺激していき、食べ過ぎを防ぐことです。初期に体重が減ることでダイエットへのやる気が高まり、食べ過ぎをしなくなることで減量に成功する人がいます。短期的にみると、糖質制限はエネルギー制限よりも効果が高いと報告されています。しかし、やり過ぎは禁物。グリコーゲンが枯渇していくため、疲れやすくなったり、頭が活動しにくくなったりする人もいます。また、ケトン体が呼気ではアセトンに変わるため、甘酸っぱいアセトン臭を放つ人もいます。

糖質制限ですが、長期的にみると他のダイエット法との差はほとんどないようです。糖質制限だけがダイエットに効果的なわけではなさそうです。

【糖質制限とメタボの関係】

健康的な食品を選び、適度な飲酒習慣をして、緩やかな糖質制限をしている人は、血糖や脂質に良い影響を与えているようです。糖質制限と上手に付き合っている人は運動習慣があることも報告されています。逆に、糖質を制限していれば、何を食べてもいいとか、糖質オフのビールや焼酎ならどれだけ飲んでもいいんだ、と勘違いしている人は、脂質や腎機能に悪影響が出ている場合もあります。

身体の中の代謝は人によって異なります。そのため、糖質制限が向いている人と向いていない人がいると考えられています。その遺伝子タイプなども少しずつわかってきました。極端なダイエット法は、短期的に体重を減らしますが、長期の減量維持には向いていませんし、身体に変調をきたしてしまいます。少し糖質を制限する、少し脂肪を制限する、その効果を体重測定で確認する、というちょっとした工夫が、長期の減量成功とメタボの改善につながるといえるでしょう。

糖質は大切な栄養素であり、エネルギー源のひとつです。これを極端に制限、例えば、ほとんど糖質を摂らないを行ってしまうと、離脱症状を起こしたり、リバウンドを起こしやすくなります。ある程度の量、適正量の糖質を摂りましょう。そうすることでこのような問題は起こりませんし、糖質摂取量が適正量であれば、余分な脂肪がつくこともありません。

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