体温を上げると免疫力がアップする

健康的な人の平熱は36.5~37.1℃です。今、36℃より低い低体温の人が増えています。低体温は私たちが持つ免疫システムと大きなかかわりがあり、放置するとさまざまな病気やがんまでも発症してしまうことがあるそうです。

【体温が下がると免疫力は低下】

低体温がなぜよくないといわれるのでしょうか。体温が上がると血液の流れがよくなり免疫力が高まっていきます。血液は私たちの体を構成する約37兆個もの細胞に栄養と酸素を送っていき、そのかわりに老廃物を持って帰る働きをします。血液の中には、免疫機能を持った白血球が存在しており、その白血球が体の中をめぐることで、体の中の異物をパトロール、排除しています。

つまり体温が下がると血流が悪くなっていき、免疫力低下、体内に異物を発見しても、素早く駆除してくれる白血球が働きにくくなり、ウイルスや細菌に負けて発病しやすくなる、というしくみです。

白血球は、外界からのウイルスや細菌だけでなく、がん細胞が体の中にできるたびに、免疫細胞が攻撃をして死滅させてくれます。健康な人でもがん細胞は1日に5000個もできています。その1つでも免疫という監視を抜けて生き残ると、1個が2個、2個が4個、4個が8個と倍々ゲームのように増えていき、がんとなって現れてくるのです。

健康を維持する免疫力は体温が下がると低下します。単純計算で、免疫力が30%低下すれば、1日に1500個程度のがん細胞が、免疫システムから見逃されて増殖していく可能性があるとされます。体温が正常に保たれていれば、これらの免疫システムが正常に働いてくれて、健康が保たれているということになります。

自分の平熱を知り、低体温を克服し、血流をよくしておくことが、免疫力向上につながります。平熱を知るには、3~4日間、朝・昼・夜の体温を測って平均を出します。50年前の日本人の平均は36.89℃。現在の平均は36.20℃と50年間で0.7℃下がっているのです。

【低体温の原因は筋肉量の低下】

低体温の原因の90%は筋肉量の低下と考えられています。50年前と今では日本人の体温の平均は0.7℃近く下がっています。理由の1つとして、現在のライフスタイルが、明らかな運動不足になっていることが考えられます。

家事をみても、50年前は掃除、洗濯、料理などすべて手作業で行い、その上で畑仕事をするなど、日常的な運動量が大変多かったのです。それに比べ、現代の生活では、乗り物や家庭電化製品の充実によって日常生活における運動量はかなり低下しています。

運動量の低下に伴い、筋肉量が減少します。筋肉は人体最大の熱産生器官ですから、筋肉が少なくなると、体温も下がり、基礎代謝も下がります。基礎代謝とはじっとしているときでも体内でエネルギーを消費していることで、基礎代謝が落ちれば、エネルギーが消費されにくくなって、内臓脂肪が増加してしまいます。

内臓脂肪組織からは、20種類以上のアディポサイトカインと呼ばれる悪玉ホルモンが分泌されていることがわかっています。これらが血管に炎症をもたらすことにより血栓を作りやすくなったり、インスリンの働きを弱めてしまうことにより、がんや高血圧、糖尿病の元凶となることが解明されています。加齢とともに基礎代謝は落ちていきます。筋肉量を増やすがあらゆる病気対策に必要です。

筋肉量の減少以外では、エアコン生活によって汗をかきにくい環境であることも低体温の原因と考えられています。脳の視床下部にある体温中枢を刺激する機会が失われると、体温を調整するための発汗中枢が作動しなくなり、低体温になってしまいます。

さらに、人間関係や経済面の問題、家族問題など、生きていく上で生じるストレスは50年前より複雑化しています。ストレスによって分泌するホルモンは、筋肉を分解することによってストレスを緩和するために、ストレスが強いと筋肉をやせさせてしまい、その結果、低体温を招くということも考えられます。

筋肉量の低下が低体温の最大の原因です。筋肉量を増やす生活を習慣にしましょう。筋肉を鍛えると、体温があがり、免疫力があがります。筋肉を鍛えると、基礎代謝が上がり、内臓脂肪をエネルギーとして分解し減らします。

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この記事を書いた人

鍼灸マッサージ師をしています。
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