ロコモの対策は足腰の筋肉を鍛えること

「ロコモ」という言葉をご存じでしょうか?ロコモとは、ロコモーティブシンドロームの通称で、運動器症候群とも言います。年齢を重ねていくとともに、骨や関節、筋肉などが少しずつ衰えていきます。このことが原因で立つ、歩く、といった機能が低下していき、要介護になるリスクが高い状態のことをいいます。

ロコモ自体は病気ではないのですが、高齢化が進んでいる日本では、ロコモから、寝たきりや要介護への移行を予防することに力が注がれるようになってきました。また、ロコモに該当する高齢者は、メタボリックシンドロームなどの生活習慣病を併発している事例が多いことが分かっています。ロコモによって運動が不足していき、生活習慣病を悪化させるケースや、重度な生活習慣病からくる身体活動の低下がロコモをさらに悪化させるなど、互いに影響しあって、全身の機能低下を引き起こしていることも多いのです。

立つ、歩く、の移動機能が低下していくと、外出が億劫になり、外出そのものができなくなったり、家の中でも転びやすくなったりします。最悪の場合、寝たきりになることもあります。日本整形外科学会では、以下の7つの項目のうち、1つでも当てはまれば、ロコモの心配があるとしています。

・片脚立ちで靴下がはけない
・家の中でつまずいたり、すべったりする
・階段を上がるのに、手すりが要る
・家のやや重い仕事が困難である(掃除機の使用、布団の上げ下ろしなど)
・2kg程度の買い物をして、持ち帰るのが困難である(1リットルの牛乳パック2個程度)
・15分くらい続けて歩くことができない
・横断歩道を青信号で渡りきれない

ロコモを予防には、足腰の筋肉を維持しておくことが重要です。

【ロコモの原因】

ロコモは、移動機能が低下した状態にあるのですが、その原因は大きく分けて次の2つと考えられています。

〔関節、骨、筋肉などの病気〕
変形性関節症、骨粗しょう症、脊柱管狭窄症(せきちゅうかんきょうさくしょう)、関節リウマチなどの、関節や骨に異常が出る病気は、年齢を重ねるごとに発症率が上昇していきます。これらの病気は、痛みや腫れといった症状が出るだけでなく、骨折や骨の変形などを引き起こしてしまいます。その結果、正常な関節運動ができなくなり、運動機能の低下が生じるとされています。

〔筋力やバランス力などの運動機能の低下と関節、骨、筋肉に起こる痛み〕
正常な身体活動を行うための筋力やバランス力は、加齢に伴い、徐々に低下していきます。それが運動機能の低下を引き起こしていきます。また、筋力やバランス力の低下は、転倒などといった、思わぬけがをしやすくなります。これが原因で運動不足となり、さらにロコモを悪化させるケースも多いのです。関節などに起こる痛みも運動不足の原因となります。

【ロコモの症状】

運動器に病気がある場合は、その病気の症状が出ます。関節の病気では、痛みや腫れ、変形を伴います。脊髄や末梢神経の病気では、痛みやしびれ、筋力の低下を伴います。運動器の病気があっても、骨粗しょう症やサルコペニア(筋肉が減弱する疾患)では症状を伴わない場合もあるので注意が必要です。

移動機能が低下することで、身体活動量が低下していき、肥満などの生活習慣病になりやすいことや、認知機能が低下しやすくなることも問題となります。

【ロコモの検査・診断】

ロコモの判定は、3つのロコモ度テストで行います。
・立ち上がりテスト:どれくらいの高さの台から立ち上がれるか
・2ステップテスト:大股で歩いた距離を身長で割ります
・25個の質問票に答える「ロコモ25」:日常生活や身体機能に関する質問

テスト方法は、ロコモ チャレンジ!推進協議会のホームページで詳しく説明されています。テストの結果で

・ロコモでない
・ロコモ度1:ロコモが始まっている
・ロコモ度2:ロコモが進行している
・ロコモ度3:さらに進行、自立できなくなるリスクが非常に高い

が判定されます。

【対策は足腰の筋肉を鍛えること】

手軽にできる運動として、ウォーキングなどが思い浮かびます。それらの運動も大切です。その上で、足腰の筋力を維持のために、少し負荷のある運動も取り入れることが大切です。日本臨床整形外科学会では、2つの運動を推奨しています。

1つめは、片脚立ちです。左右1分ずつ、1日3回行います。転倒しないように、必ず掴まるものがあるところで行いましょう。最初は1分もできないかもしれませんが、自分のできる範囲で続けることが大切です。

2つめは、スクワットです。足を肩幅より広めに開き、腰をゆっくり落としていきます。この時、膝がつま先よりも前に出ないようにすることがポイントです。つま先よりも前に出ると、膝に負担が来てしまいます。この動作が難しい場合は、椅子からの立ち座りの動作をゆっくり行うことでも、足腰を鍛えることができます。この運動も、掴まるものがあるところで行いましょう。

無理ない範囲で、運動を続けることが大切です。ロコモ予防のために、筋肉を維持しましょう。

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この記事を書いた人

鍼灸マッサージ師をしています。
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