【大さじ2杯でレタス1個分の食物繊維!】
おからは、豆腐の製造過程で大豆から豆乳を作った後にできる搾りかすで、いわば不要になった部分なのですが、不要とは思えないほど豊富な栄養を含んでいるのです。古くから「卯の花」(炒り煮)などの常備菜の材料として使われてきました。
水分を多く含む生のおからは足が早いため、2~3日程度しか日持ちしません。そこで「おからパウダー」。生のおからを乾燥させたもので数カ月単位での常温保存が可能になりました。さらに、生のおからに比べて「手軽に使えて活用の幅も広い」「栄養価が高い」のです。特にたんぱく質やカリウム、カルシウム、マグネシウムなどのミネラル、食物繊維などはおからパウダーにより多く含まれています。
なかでも、食物繊維の量は必見。レタス1玉400g(正味390g)当たりの食物繊維は4.4gですが、おからパウダーならたった大さじ2杯分でそれを上回る量の食物繊維を摂ることができます。
【便秘を予防・改善】
食物繊維は野菜、果物、豆類、海藻類などに多く含まれていますが、外食が多かったり、肉類中心の食生活などをしているとどうしても不足しがちになります。また、レタスのような生野菜では、多くの量を一度に摂るのはなかなか難しいものです。
国の食物繊維の1日の摂取目標量は18歳以上の男性では21g以上、女性では18g以上とされていますが、2019年の国民健康栄養調査による食物繊維摂取量の平均値は20歳以上の男性で19.9g、女性で18.0gと不足しています。
食物繊維には水に溶ける「水溶性」と、水に溶けない「不溶性」の2種類があり、どちらも健康を保つうえで重要な役割を果たしています。
<水溶性食物繊維の主な働きと効果>
1.消化管で糖質を取り囲むため、糖質の消化・吸収をブロックする。血糖値の上昇を抑える。
2.コレステロールを吸着し、排出する。脂質異常症や動脈硬化の予防につながる。
<不溶性食物繊維の主な働きと効果>
1.腸内で水分を吸い取って膨張、腸内細菌のえさになる。便の量を増やすことで排便がスムーズになり、便秘の予防・改善につながる。
2.腸内の有害物質を吸着して便と一緒に排出する。大腸がんのリスクを減らす可能性がある。
おからパウダーは、不溶性食物繊維の宝庫です。便秘がちな人は、積極的に摂りましょう。一度にたくさん摂りすぎるとお腹がゆるくなったり、お腹の中にガスがたまったりすることがあるので注意が必要です。
食物繊維以外に含まれる成分は、
・たんぱく質:内臓や骨、皮膚、髪の毛など、からだの組織を構成する材料
・カリウム:体内の余分なナトリウムを排出。心臓や筋肉を正常に働かせる
・カルシウム:骨や歯の材料
・マグネシウム:骨や歯にカルシウムが行き渡るように助ける。血圧を下げる働きもある
さらに、ビタミンEやイソフラボンも含まれています。どちらも強い抗酸化力を持ち、細胞の老化を促進する活性酸素を取り除く働きがあるとされており、アンチエイジング効果でも注目されている成分です。イソフラボンは特に閉経後の女性の骨粗しょう症の予防に効果的と報告されています。いつまでも若々しい体を保ちたい人にとっても、おからパウダーは魅力的な材料のひとつです。
【血糖値の上昇を抑える】
料理が苦手な人はもちろん、栄養バランスのとれた献立を毎食考えるのが面倒だったりするときなども、おからパウダーなら手軽に取り入れることができます。味や香りにクセがないので、どんな料理や食品にも合わせやすいのです。
最も簡単なのは、パスタやうどんなどの麺類の上から大さじ1杯程度のおからパウダーをパパッとかけるだけ。麺が少なめでもかさが増して、満腹感が増します。 また、朝の味噌汁やスープ、コーヒー、ヨーグルトなどに混ぜるのもおすすめ。忙しくても食物繊維をはじめとする栄養成分をしっかり補給できます。
外出するときにおからパウダーを小分けにして持ち歩けば、職場などでインスタント食品や出来合いのお惣菜などを食べるときにもさっとプラスすることができて重宝します。
また、自分で料理する際にハンバーグのタネに加えたり、クッキーやケーキの材料として活用したりするのもよいでしょう。肉や糖質の摂りすぎを防ぐ効果が期待できます。なお、薄力粉の代わりにおからを使った「おからケーキ」と、薄力粉を使った「おからなしケーキ」をそれぞれ食べた場合の食後2時間の血糖値を調べた研究では、糖質量が同じであっても「おからケーキ」のほうが「おからなしケーキ」に比べて明らかに血糖値の上昇を抑えられることが確認されています。