寝不足のリスク~朝昼の7つのポイント

眠りの悩みが慢性化して日常生活に明らかに支障が出てしまう前に、ぜひ実践したいセルフケアの方法を、1日の流れに沿って紹介します。

【こんな習慣があれば要注意チェック】


朝起きる時間がまちまち□朝食はとらない
・あまり運動をしない
・16時以降にコーヒーを飲む
・夜食をとることが多い
・寝る前にテレビやパソコン、スマートフォンを見ている
・寝る前の筋トレが習慣
・寝酒を飲む

目次

〔朝のセルフケア 3つのポイント〕

【1.決まった時間に起きて朝の光を浴び、体内時計をリセット】

リズムを作るためにしたいのが、朝の体内時計のリセットです。体内時計とは、人間の体に備わったシステムで、体温やホルモン分泌など、体の基本機能をコントロールしています。体内時計は、体全体を整える、脳内の中枢時計と、臓器など体中の細胞にある末梢時計があります。これらの体内時計の周期は、だいたい24時間のリズムを刻むので、概日リズム(サーカディアンリズム)とも呼ばれます。ただ、この体内時計の周期は24時間よりも少しだけ長く、体内時計の1日を地球の1日に合わせるには、1日1回リセットする必要があります。

「中枢時計のリセットで重要なのが朝に太陽光を浴びること。目から入った光の刺激で眠気をもたらすメラトニンの分泌が抑えられ、体が活動モードになります。さらにその約14時間後にはメラトニンの分泌が増えて眠気が起きるという自然のリズムが刻まれます」(青山・表参道睡眠ストレスクリニック院長の中村真樹先生)。

夜に強い光やブルーライトを浴びることは、この朝日を浴びるのと同じ作用があり、メラトニンの分泌が妨げられます。

規則正しいリズムを刻むと、安定した眠りになっていきます。平日も休日も、できるだけ決まった時間に起き、光を浴びてリセットをします。「光のレベルは、晴れた日にカーテンを開けたときの明るさ程度で十分です。通勤や通学がなく家で過ごす人は、ベランダや窓際で光を感じるといいでしょう」(中村先生)。

【2.朝食をとる】

体内時計は食事の影響も受けます。起床後に光を浴びることでリセットされるのは中枢時計ですが、食事は末梢時計をリセットしていきます。

「血糖値が上がると分泌されるインスリンというホルモンが、末梢時計のリセットに役立つことがわかっています。血糖値を上げる炭水化物を含む朝食をとると体内時計が正常に働きます。最近では朝食を抜く人がいますが、ジュースでも良いので朝の起きがけに血糖値を上げましょう」(中村先生)。

最近では、たんぱく質も末梢時計をリセットするという報告もあります。炭水化物やたんぱく質を含む朝食を欠かさないことが大切です。

【3.熱めのシャワーを浴びる】

頑張って起きたけれど、ぼんやりして体が目覚めないときは、こんな方法もあります。

「その場合、熱めのシャワーを浴びると体を活動モードにする交感神経の働きが高まり、脳を目覚めさせることができます」(中村先生)。

【昼のセルフケア 4つのポイント】

【1.日中は活動的に過ごす】

リモートが日常化しており、運動不足の人、多いです。

「体を動かしたときの適度な疲労は良い睡眠のもとです。また、天気の良い日の散歩は気持ちをリフレッシュさせ、睡眠にも良い影響をもたらします」(中村先生)。

睡眠に問題がない健康な成人男性9人が、最大酸素摂取量の60%のつらくない程度の運動を1時間行ったところ、深い睡眠の指標となる脳波が増加したという研究もあります。

【2.昼食後、眠くなったら15時までに20分以内の昼寝】

昼食後に眠くなるのは誰もが経験することです。これは人間に備わった自然なリズムなのです。

「睡眠に問題がなくても、昼食後の14時から16時の間は眠気が起こりやすい時間帯です。そんなときにおすすめなのが、15~20分の昼寝です。眠気がとれてスッキリし、作業効率も上がります。昼寝の取り方のポイントは、長く寝過ぎないことと、夕方以降に昼寝はしないこと。長く寝過ぎたり16時以降に昼寝をしたりすると、肝心の夜に眠れなくなってしまいます。また、昼寝からスッキリ起きるために、仮眠前にカフェインの入った飲み物を飲むのも一法です」(中村先生)。

【3.カフェインを上手にとる】

日中の眠気が我慢できないときの大きな味方、カフェイン。ただし、その効果が夜にまで続くと睡眠が妨げられてしまいます。

「カフェインが完全に代謝、排出されるには8時間ほどかかります。夜の睡眠に影響を与えないためには、カフェインの摂取は16時までにしたほうがいいですね」(中村先生)。

カフェインはコーヒーや緑茶だけでなく、チョコレートやココアにも含まれています。また、市販のエナジードリンクや眠気覚ましのガムにも入っているので、商品の表示をチェックです。

【4.リモートワーク時には仕事着と日常着でメリハリ】

リモートワークやリモート学習は、昼と夜のメリハリがつきにくくなってしまいます。その結果、リズムが乱れ、夜型生活になっている人も多いようです。

「そうした状況を改善するには、いかに気持ちを切り替えるかが重要です。それには、服装を変えることも有効です。例えば朝起きたら外出用の服に着替え、仕事や勉強が終わったら普段着に着替えるだけでもメリハリがつきやすくなります」(中村先生)。

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この記事を書いた人

鍼灸マッサージ師をしています。
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