怒りが生まれる仕組みを知る

【怒ること】

怒りは、身を守るために備わっている感情といえます。自分の生命や家族が危険にさらされる、大切な価値観や立場が傷つけられる、自分の思い描くようにならない、などのとき、怒りという感情を使って、危険から自身や大事なものを守ろうとします。誰にでもある自然な感情なのです。怒ること自体は悪いことではないのです。

病気でいうと、怒りはからだを守るための免疫。ですが、病気の原因と戦っているつもりが、原因ではないものまで巻き込んでしまうと問題です。最近の状況は、怒りの攻撃が自然な方向に向くだけでなく、無関係な範囲にまで広がっている点です。免疫過剰です。

【怒りが生まれる仕組み】

怒りはどのように生まれるのでしょうか。自分の価値観が裏切られたときにバチッと生まれます。こうあるべき、という価値観です。マナーを守るべき、自粛するべき、マスクをするべき。それらが侵害されていると感じたときに生まれます。もっとも、生まれただけでは、怒りは大きくならず、負のエネルギーが要ります。負のエネルギーに当たるのが、不安、孤独感、罪悪感などのネガティブ感情、疲労感、ストレス過多、睡眠不足などです。

前は軽くイラッとするぐらいだったのが、最近の自分はすごくイライラする、なぜこんなに怒りっぽくなったのだろう、などという人が多くなっています。新型コロナウイルス感染症対策の中で、メンタル不全に陥る人が増えました。怒りの火種は、以前も今もそんなに変わっていなくても、火種を燃やす負のエネルギーが以前に比べて蔓延しています。

【怒りに振り回されない3つの方法】

1.マイナス状態の緩和:疲労感、ストレス過多、睡眠不足、空腹、体調不良など
2.ネガティブ感情を小さくする:不安、孤独感、罪悪感など
3.自分の「べき」(価値観)の整理

感情に余裕があるときは、3の自分の「べき」の幅を知り、幅を少し広げて怒りを制御することができます。余裕がないときは、1のマイナス状態を減らすことを考えます。体の具合が悪いときはイライラしやすい、といった状態です。ゆっくり休んで、しっかり食べて、ぐっすり寝て状態を少しでもプラスにしていきます。

2のネガティブ感情。コロナ禍から孤独感や、将来に対する不安感といったネガティブな感情にさいなまれている人がまだ多くみられます。カウンセラーなど専門家の手を借りることも1つの方法です。

マイナス状態やネガティブ感情に対処したうえで考えたいのは、3の「べき」対応です。「べき」が壊されたり、裏切られたりすると、自分の価値観を守るために怒りの感情が生まれます。そこで、自分の「べき」の幅を理解し、どう対応するかを考えておきましょう。

例えば、「マスクをするべき」という考え方に対して自分はどこまで許容するか、この条件ならする、これならしなくてもいいなど、その許容度を決めていきます。そして怒るとしたらどう怒るかを考えます。

【怒りを静めるには】

怒りを感じたとき、どう行動しますか。
・ただひたすら我慢する
・自分を責める
・原因を追究する
・過去の怒りを思い出
・怒りに任せて相手を責める
・怒りをモノにぶつける
・暴飲暴食に走る

これらは全て、怒りを長引かせる原因となります。

怒りを静めるには、自分がリラックスできる方法を見つけます。散歩、昼寝、読書何でもよいです。気持ちが高ぶらないことをします

どうしても怒る必要があるときは、自分を奮い立たせるエネルギーにしたり、あるいは相手との関係性を考え直したり、よりよい方向を探したりできないか考えます。何かを壊したり、消費したりではなく、生み出す方向に向けます。自分の怒りを消費に回すのか、それとも投資に回すのか、です。

怒る必要があるとき、戦うことがどうしても必要以外、戦わなくていいことは戦わなくてもいいのです。逃げるが勝ちです。見極めは難しいですが、関わらなくていいこともたくさんあります。

【怒りの予防3つのポイント】

■6秒かけてゆっくり深呼吸する
感情が生まれてから、理性に戻るまで数秒かかると考えられ、6秒が現在主流の見方です。6秒で怒りは消えませんが、6秒あれば、冷静に考え始めることができるという考え方です。6秒間の過ごし方はいろいろあります。手軽なのは深呼吸です。まず息を吐き切ります。その後大きく息を吸います。10秒呼吸法も手軽な方法です。

■人に見られていることを意識する
他人の目があると理性が介入しやすくなります。世の中には、社会的な「たが」が外れ、何をしても平気になる人が、残念ながらいます。地域、家族、友人、会社といったコミュニティに属したり、人との交流が、社会的な「たが」の役割を果たします。

■怒りから距離をとる
怒りは伝染します。会社、家族、誰か1人イライラすると、あっという間に移ります。立ち去りましょう。怒っている人には近づかない、怒りを感じるものには近寄らない、見たり、聞いたり、触れたりしないことが一番です。

  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

鍼灸マッサージ師をしています。
当院へのご予約は、下記一番左のリンクボタン、又は右側の[ご予約]をクリックください。

目次